2021年06月11日 1677号

【コロナワクチン接種の加速化/強制・同調圧力でなく追跡調査、情報開示を】

 菅義偉(すがよしひで)首相がすがる新型コロナワクチン接種を政府は「1日100万回接種」を目標とし、対象年齢も12歳まで引き下げる方針だ。衆参両院で「本人意思の尊重」が決議されているが、政府が躍起になればなるほど、社会的に「ワクチン・ハラスメント」と呼ぶべき接種圧力も増してくる。

 新型コロナワクチンのこれまでを振り返る。

「特例承認」は仮免許

 今、世界で接種が広がっているのはファイザー社とモデルナ社のワクチンだ。両方ともヒトでの使用は初めてとなるメッセンジャーRNAワクチンだ。

 ワクチンは、感染していない人に広く接種する。だから、安全性と効果が確保されなければならない。従来は開発から一般に接種される実用化まで通常5年〜10年の期間を要した。

 だが、新型コロナウイルスワクチンは、約1年で実用化された。欧米諸国が「緊急使用」、日本は「特例承認」という簡略化した承認手続きをとったからだ。これが注意を要する。

 新薬は開発者が動物実験の後、ヒトによる臨床試験を重ね、そのデータで安全性と効果、製造体制などを公的機関が確認し初めて承認される。治験は数十人から数万人まで3段階に分かれ、薬を使用した群と使用しない群で効果を比較する。

 新型コロナワクチンは、この治験を小規模なもので終わらせ承認された。これが「緊急使用」「特例承認」だ。
国内で承認した際のデータでは、ファイザーは海外4万3千人/国内160人、モデルナは海外2万8千人/国内200人のみだ。海外での試験は年齢層や人種に偏りがあり、国内では通常の臨床試験の第一段階の規模だ。現状では十分な効果と安全性が確認されているとは言い難い。

有効性は

 ワクチンの有効性についても、限定的だ。臨床試験で分かっていることは以下のとおりだ。

(1)流行は抑制されるか

 臨床試験が感染の抑制効果をはかるものになっていないので不明。

(2)死亡者は減少するか

 ワクチン接種群と非接種群の差がなく、減らしているとはいえない。

(3)新型コロナによる入院や重症者の減少

 減らしている。

(4)患者の減少

 症状のあるPCR検査陽性者は減らしている。

(5)コロナ症状発症者の減少

 減らしているが、未知の副反応を考慮すれば認可するほどの効果ではない。

 ワクチン製造者が開示しているデータからは、(3)(4)の効果しかない。

 しかも(3)については、ウイルスによる重症者だけでなく「有害事象」による重症者も含んで考える必要がある。ワクチン接種群は1400人接種あたり重症者が1人出る計算となっている。

 (4)の発症者を減らす効果については「95%の効果がある」といわれている。これは「ワクチン接種をした人の95%が発症しない」という意味ではない。臨床試験でワクチンを打たずに発症した人のうち、95%がワクチン接種していれば発症しなかったのではないか、という意味だ。

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潜むリスクは

 一方、ワクチン接種が原因でウイルスが体内に侵入したときにかえって感染が強まったり、症状が激しくなることもある。これらの評価は半年や1年でできるものではない。

 また、急性で危険性の高いアレルギー反応であるアナフィラキシーショック出現率が高いことは政府も認めている。

 国内接種による副反応疑いは約7300件、うち、死亡例85件が厚労省に報告されている(5/26・厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会)。死亡例はすべて因果関係が不明か評価中だ。つまり「接種と関係がない」とも言いきれていない。臨床試験の不十分さは、日本感染症学会ほか多くの専門家が指摘してきた。「特例承認」だからこそ、透明性と公正さをもった厳格な調査・評価がなされなければならず、「分からない」で済ませてはならない。

自由意志が絶対条件

 ワクチンを接種するか否かは、少なくともこれらの情報を検討してひとり一人が判断することだ。政府・自治体であれ、雇用主であれ他者が口をさしはさむことではない。まして、強制・強要・同調圧力・誘導は一切許されない。

 ワクチンの効果と害作用についての十分な追跡調査、情報開示と、ワクチン・ハラスメントの排除がない限り、ワクチンへの信頼性も政策への支持も得ることはできない。
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