2021年06月11日 1677号

【議会を変える 東京都足立区議 土屋のりこ 女性差別と闘う】

 5月19日、東京都の12市区が参加する「東京都パートナーシップ制度導入自治体ネットワーク」が発足した。

 各自治体の発行する同性パートナーシップ証明について自治体を超えて相互に運用できないかと模索する動きで、前回、議会質問で要求したことが実現に向けて動き出した。

 そしてこれは女性差別に抗う闘いでもある。

 足立区の自民党・白石正輝議員による性的少数者差別発言も、根底にあるのは女性差別だ。白石議員は、普通に子どもを産まない女性はダメだと言い、「子どもを3人産んでくれと言ったら“セクハラだ”“女性の人権無視”と平気で言われる」(19年決算委)「子どもが生まれないカップルが当たり前になると人類が滅亡する」(18年本会議)とも。これらに通底するのは、結婚し子どもを産むことを当然とする規範意識だ。

 さらに白石発言は、日本では家事・育児が女性に割り振られることが多く家事労働領域における男性支配・家父長制が強い問題に蓋をする。未婚者、DINKS(共働きで意識的に子どもを持たない夫婦)等への蔑視・無知の表れであり、子どもを産まない女性を攻撃してもよいと誤解させ、差別の再生産にもなる。

 労働者として休みなく働き、結婚し子どもを産み、労働者として育て上げることが幸せという考えこそ、産業革命以降の国策的価値観であり変わらなければならない。

 足立区で性的少数者政策が飛躍的に進んだのは「男性の“常識の範囲”から逸脱すると許されない」中で女性として立場を確立してきた区長の「差別された女性」からの抵抗でもあり、すべての人が恐怖を感じることなく暮らせる街を実現する一歩だ。

 国が同性婚を認めればいいが、LGBT法案をめぐる自民党議員らのあの体たらく。期待は持てない。

 憲法14条の平等権は、すべての市民は不平等に、あるいは不合理な区別に基づいて扱われるべきではなく社会のあらゆる領域・関係において差別されない「支配・従属関係の廃絶としての平等」を保障する。平等権を実体化する闘いに同性パートナーシップ制度自治体間連携は位置づく。ジェンダーヒエラルキー=家父長制と呼ばれる男性支配・女性抑圧システムに抗い、同性婚カップルが、婚姻制度の下で保障されるものと同じ権利を享受できるよう、要求を押し上げていきたい。
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