2021年06月11日 1677号

【戦時体制つくる土地規制法案 強行採決に怒り/現代版「要塞地帯法」 参院で止めよう】

 基地や原発周辺の住民を監視の対象とする「重要土地調査規制法案」の採決が5月28日、衆院内閣委員会で強行された。人権侵害の戦時体制づくりを狙う法案に、沖縄をはじめ各地から批判が高まりつつある。

 沖縄・一坪反戦地主会関東ブロックは法案審議入りの5月11日から国会前で抗議のスタンディングを続ける。26日に開いた緊急集会は、自民党の杉田水脈議員が「反対運動の人たちの食べた弁当殻が基地内に舞い込む」と荒唐無稽の理由で取り締まりを求めたことに触れ、「ターゲットは辺野古の新基地建設反対運動。沖縄を戦場にするための法案だ」と指摘。

 「第3次普天間米軍基地から爆音をなくす訴訟団」の新垣清涼団長が電話でメッセージを寄せ、「原告は過去最多の5346人。法案について総会で『基地周辺住民を犯罪者扱いして個人情報を調べ上げ、密告制度により監視下に置く。憲法改悪の緊急事態条項を先取りし、権利制限を日常化させる』との批判決議を採択した」と報告。「PFOSなどの有害物質が米軍基地から流出しても調査さえしない国をみんなで変えていこう」と呼びかけた。

市民監視の狙いに警鐘

 25日、法案に反対する224市民団体が開いた緊急院内集会にも、各地から法案の危険性に警鐘を鳴らす発言が届いた。「大間原発の建設中止を訴える『あさこはうす』は“特別注視区域”となり、活動中止命令も出せる。住民が互いを監視し、密告も辞さない戦前の隣組制度や特高警察のある暮らしに舞い戻る」(大間とわたしたち・未来につながる会 野村保子さん)「横須賀の山には『東京湾要塞地帯』の石柱が残る。戦争中は立ち止まっただけで警官に『さっさと移動しろ』と怒られた。今も監視されている」(すべての基地にNO!を・ファイト神奈川 木元茂夫さん)

 沖縄・辺野古のヘリ基地反対協議会・浦島悦子さんは「カヌーなどの海上抗議行動の拠点に土地を貸す人たちに圧力がかかる。住民の心の拠り所、市民的抵抗の拠点を奪うもの」、石垣島の「農村のくらしを守る会」花谷史郎さんは「近隣住民の心情を一切理解しようとしない国に強く抗議。ぜひ廃案に」と訴える。

 5月9日の第2回島々シンポジウム「ミサイル基地工事を阻む石垣島」でも、内原英聡・同市議が「これは石垣島狙い撃ち法案。公明党との合意で市街地は対象外とされたが、自衛隊基地建設予定地に近接する4集落は市街地から外れている。市も予定地周辺に人は住んでいないと言う。そこで声を上げようものなら身辺が全部調査される」と危惧を表明。「いのちと暮らしを守るオバーたちの会」の山里節子さんは「昔の治安維持法のような怖さが盛り込まれている。基本的人権を侵す内容は承服できない。南西諸島は戦争を実践するための実験台にされようとしている」と憤った。

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