2021年06月25日 1679号

【厚労省 文科省 コロナ禍の解雇を禁止せよ 給付型奨学金へ抜本的改革を】

 雇用・労働問題の厚労省要請は、立憲民主党の石橋通宏(参院)、西村智奈美(衆院)両議員事務所の協力を得て実現した。

 厚労省側は労働基準局や職業安定局の11人が出席。要請参加者を驚かせたのは、労働者保護を所掌事務としているはずの厚労省担当者から“経営者側の事情にも配慮すべき”とする回答が連発されたことだ。

 コロナ禍の解雇禁止措置の要求は「労働契約は契約自由が原則。事業主の経済活動に影響が大きいなどの課題がある」と拒否。休業手当の算定方法を“平均賃金の6割”から“実際支払われていた額の8割”に改善せよとの要求にも「企業も厳しい経営下にある。会社としての存続が危ぶまれるケースも。制度見直しは労働者と企業の両方の状況を踏まえ、慎重な検討が必要」と応じない。

 雇い止めが横行し、労働局に申告しても“情報提供”としか扱われない実態をつきつけると、「そういうことがないよう周知していきたい」「貴重なご意見を共有し、現場でどう運用しているか確認し、対応する」。休業支援金については「事業主の協力がない場合も、労働条件通知書などの証拠があれば対象となる」と答えた。シフト制の「最低労働日」保障をめぐっては、3月12日の衆院厚生労働委員会で田村大臣が「EUのような一律の規制ができるか、諸外国の状況をしっかり調査する」と答弁したのを受け、制度を研究し対応を検討するとした。

 文科省には、保証人の支払い義務を超える返済金の返還を命じた札幌地裁判決(5/13)を踏まえ、貸与型奨学金の「人的保証」から「機関保証」への移行、給付型を根幹とする抜本的な制度変更を求めた。

 機関保証については「将来的に視野に入れつつも慎重に検討」、給付型奨学金については「貸与型の拡充で進学の機会が開かれていること、進学せずに働く者との公平性にも留意する必要があることを十分に踏まえなくてはならない」と消極的姿勢に終始した。
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