2021年07月16日 1682号

【薄汚いカネで買った東京五輪/メディアが報じない菅の工作】

 演出家の宮本亞門が語った東京オリンピック批判のコメントが波紋を広げている。五輪関連イベントの演出を手掛けたこともある彼は「復興五輪といった言葉を信じようとしたが、間違いだった」と悔恨の言葉を述べ、次のようなエピソードを明かした。

 「東京の招致決定後、あるトップの方とお会いした時、招致が決まった会場で、裏でいかに大金の現金を札束で渡して招致を決めたか、自慢げに話してくれたのです。驚いた私は『それ本当の話ですか?』と言ったら笑われました。『亞門ちゃん若いね。そんなド正直な考え方で世の中は成り立ってないよ』」(6/20日刊ゲンダイ)

 同様の話は他からも上がっている。セガサミーホールディングスの里見治会長の話だ。彼自身がテレビ局や広告代理店の幹部を集めた宴会(2013年秋)の場で、「東京五輪は俺のおかげで獲れたんだ」と自慢話をしていたというのだ。

 いわく「菅義偉官房長官から話があって、『アフリカ人を買収しなくてはいけない。4億〜5億円の工作資金が必要だ。何とか用意してくれないか。これだけのお金が用意できるのは会長しかいない』と頼まれた」「菅長官は『嘉納治五郎財団というのがある。そこに振り込んでくれれば会長にご迷惑はかからない。(中略)絶対に大丈夫です』と。それで俺は動くことにした」(週刊新潮2020年2月20日号)

 後の総理大臣がオリンピック招致をめぐる買収工作を指揮していた―。まさに政権が吹っ飛ぶ大スキャンダルである。ところがメディアは後追い報道もせず、いつの間にか立ち消えに。隠蔽の圧力がかかったことは明白だろう。そのような金権腐敗五輪に「感動」などできるものか。さっさと中止してくれ。  (O)
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