2021年08月13・20日 1686号

【2021ZENKO ジュゴン保護分科会/サンゴ移植の許可―撤回 沖縄防衛局は窮地に/設計変更不承認支え 工事の中止実現を】

 辺野古埋め立て中止、ジュゴン保護実現≠ノ向けた分科会では、玉城デニー知事の設計変更申請不承認を支え、沖縄ジュゴンを守る運動方針を議論しました。

 まず海勢頭(うみせど)豊 ジュゴン保護キャンペーンセンター(SDCC)共同代表が、沖縄からリモートであいさつ。「沖縄ではジュゴンは竜宮神として古来より信仰の対象になってきた。竜宮神は平和の神。ジュゴンを守ることは絶対平和を求める憲法9条を守り、戦争を許さないことだ」と強調。また、琉球新報連載にもとづく沖縄国際大学名誉教授、来間泰男さんの文献『琉球王国の成立と展開』の内容を紹介し、「尚巴志(しょうはし)による三山統一から琉球王朝成立に向けて、琉球版の戦国時代はなかった。絶対平和≠ェ琉球の歴史の基礎である」と話されました。


環境保全無視

 基調では、▽「環境監視等委員会」に所属する学者らによる「ジュゴン絶滅論」を許さない国内外の世論の力が強まっていること▽「環境保全措置」を無視する防衛省はこの力に追い込まれていること▽SDCCも署名3万2千と政府交渉でその運動をになったこと―が強調されました。そして、▽新たな署名運動を11月政府交渉に向けて広げ、知事の不承認を支えること▽ヤンバル(沖縄島北部の森林地域)の世界自然遺産登録にあたって、北部演習場、返還地の環境保全を日米両政府に求めていくこと―を参加者で確認しました。

 ZENKO直後の7月26日、ユネスコはヤンバルを含む南西諸島を世界自然遺産とすることを決定しました。しかし、その評価書は、SDCCを含む環境保護団体が強く求めてきた、北部演習場および返還地の日米両政府による環境管理に言及しない不十分なものでした。現実には返還地には膨大な軍事廃棄物が放置されています。蝶類研究家の宮城秋乃さんらが、これを自主的な調査で明らかにしています。

 SDCCを含む環境団体は、今後も北部演習場と返還地の環境管理を国際世論にも訴えながら、日米両政府に求めていきます。

サンゴ移植強行

 6月28日、沖縄県は最高裁での敗訴を受け入れ、沖縄防衛局に対し大浦湾でのサンゴの移植を許可しました。なんと沖縄防衛局は翌日の29日から作業を開始。県は、高水温時にはサンゴの生存率が下がるため、許可時の条件に従い作業の中止を求めましたが、沖縄防衛局は従いません。

 玉城知事は30日午後、会見を開いてサンゴの移植許可撤回を発表し、ようやく31日になって沖縄防衛局は作業を中止しました。

 ジュゴンの海をまもる世論に押され窮地に追い込まれているのは、政府、沖縄防衛局です。

 玉城デニー知事の設計変更不承認を支え、工事の中止を早急に実現しましょう。

(ジュゴン保護キャンペーンセンター・松島洋介)

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