2021年09月03日 1688号

【2021ZENKO JR・リニア分科会 リニア・新幹線は凍結 鉄道再国有化の実現へ】

反リニアの闘い集結

 ZENKO大阪第14分科会は、今年「NO!リニア・新幹線 生活路線と安全守るため今すぐ鉄道再国有化を」に名称を変え、鉄道再国有化実現を明確にした。会場に13人、ZOOMで4人の計17人が参加した。

 新型コロナ感染拡大で「密」回避の動きが強まる中で、満員電車は「密」の象徴となり、多くの鉄道会社は利用者が半減、経営が急速に悪化している。再国有化を明確にしたのはそうした情勢変化の反映だ。

 基調提案では、2023年に鉄道再国有化の実施を決め、1960年代に廃線にした一部路線の復活を決めた英国の例も紹介。「新自由主義と闘い、企業の都合で切り捨てられる医療・教育・福祉・公共交通を市民の要求に応じて拡充・強化が可能な共有財産に変える」という分科会の基本方針を明らかにした。

 リニア建設阻止の闘いを進める、リニア・市民ネット大阪は事業認可(14年)直後の15年に発足。リニアに関する勉強会を15回実施した他、自治体への要望書提出や国政選での各候補者への公開質問状提出などの取り組みを報告した。「地方の役人は上から言われ、内容もよく知らないまま実施しているだけ。ダメなものには黙っていないでダメと言わなければいけない」。闘う意思表明だ。

 また、JR東海への要請も行ったが門前払いだったこと、金沢まで開業し敦賀延伸に向け工事中の北陸新幹線も、強権的な進め方が共通していることも報告された。北陸新幹線工事はトンネル事故が発覚し中断しているが、ずさんで強権的な事業の手法がこのような事故を生んだといえる。

再国有化を提言

 安全問題研究会は、今年早々とりまとめたJR再国有化法案(日本鉄道公団法案)の概要説明を行った。コロナで経営が急速に悪化した全国の鉄道網維持のため再国有化が不可欠だ。

 鉄道事業開設予定者に事業収支見積書の提出を求める鉄道事業法について「新自由主義的」だとして見直しの必要も指摘した。

 今春「リニアの通る町」長野県大鹿村に大阪市から移住した北川誠康さんは現地で撮影した写真を元に報告。膨大な残土投棄や樹木伐採など、巨大な自然破壊につながるリニア新幹線建設の阻止を訴えた。この残土は北海道でも問題になっている。リニアのみならず、全国的問題だ。

民主的公共交通へ

 分科会ではその後、参加者が討議。以下の通り決議を確認した。

  ◇     ◇

(1)環境破壊、税金無駄遣いのリニア・整備新幹線建設を止め、捻出した予算を公共サービス・地方公共交通維持・再建に振り向けさせよう。すべての新幹線阻止のため関係機関(財務省、国交省、鉄道・運輸機構、自治体)要請に取り組もう。

(2)JRの安全対策を監視し、利用者本位のサービスを取り戻そう。

(3)利用者・市民が決定権を持つ民主的な公共交通を確立するため鉄道再国有化を実現し、新自由主義との決別、菅政権打倒を実現しよう。

(4)安全と企業倫理確立のため組織罰制度を実現しよう。



新幹線札幌延伸中止こそ 「要対策土」処分の根本解決だ

 北海道新幹線の札幌延伸工事に伴い排出される掘削土、それは重金属など環境基準を超える「要対策土」が含まれており、処分候補地住民を先頭に大きな反対の声が上がっている。

 私はその候補地の一つ山本地区に隣接する地区に住んでいる。山本地区の幹線道路には残土受け入れ断固反対≠ネど書かれた看板が並び、地域住民の方々の必死の思いが伝わってくる。

 この候補地の直近には温泉や子どもたちでにぎわう水遊び場、ライラックまつりの会場ともなる市民が憩う大きな公園がある。要対策土に含まれる重金属やヒ素、これらが長い年月をかけ土壌汚染、水質汚染として表面化した時では遅い。汚染された土は、水は単純には除染できない。ここで食い止めなければ。

 反対の看板の一つに子や孫の命を守れ≠ニ書かれたものがある。まさしく、この処分地問題も命を守る闘いなのである。

   (北海道・福守豊)
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