2021年09月10日 1689号

【DSA(アメリカ民主主義的社会主義者)大会報告 社会主義者の国際連帯を 01年武力行使決議廃止へ行動】

 8月1〜8日に開催されたDSA(アメリカ民主主義的社会主義者)大会の期間中、DSA国際委員会主催の全体セッションが2回開催された。また、決議案討論の時間帯でも、国際委員会の方針にかかわる決議案5本が白熱した討議に付された。これらは、いずれも、DSAの組織拡大に伴って、国際委員会に期待される役割が大きくなっていることを示すものだ。

世界の左派が現状報告

 国際委員会主催の1回目の全体セッション(8/7)のテーマは「21世紀における社会主義的国際主義」。英国労働党のジェレミー・コービン前党首、元ブラジル大統領のジルマ・ルセフ(労働者党)、フィリピンKMU(5月1日運動)国際局長カラ・タガオア、エルサルバドルFMLN(ファラブンドマルチ民族解放戦線)書記次長のカリーナ・ソーサらゲストが順次連帯あいさつをした。それぞれ自国での左派の闘いの現状を説明しつつ、DSAを中心にした社会主義者の国際連帯をさらに拡大していく必要性があることを訴えるものだ。

 2回目の全体セッションは大会最終日の午前に。「社会主義者の国際連帯とDSA」というタイトルで、国際委員会がこの間どのように機構改革をしながらその増大する役割に応えようとしているか、パネリストの討論が進められた。2年前のアトランタ大会の時点で国際委員会の共同代表をしていたイーサン・アールさんの提起で始まった国際委員会の機構改革の現状が、国際局のチップ・ギボンズさんによって説明された。

 DSA国際委員会は、現在3つの機関によって構成されている。1つが国際局で、海外の政党、労組、運動団体との渉外を一手に引き受けている。2つ目が運営委員会で、米国の様々な外交問題に係る国内でのDSAの取り組みを担当している。いずれも全国政治委員会と密接な連携を保障するために、全国政治委員会から任命されたそれぞれ10人ずつの委員で運営される。最後3つ目が、小委員会で、これには「アメリカ大陸」「ヨーロッパ」「中東・アフリカ」「アジア・オセアニア」「反戦」「貿易・経済」の6つがあり、それぞれ2人ずつの共同代表がいる。DSAの正会員であれば、地域や課題ごとの関心に応じて、どの小委員会に参加することもできるとのことだった。

 人数が最大の小委員会は「アメリカ大陸」で、150人が所属する。最近では、上記の6小委員会を横断して、中国との冷戦構造へと誘導する米政府の政策に反対するための「中国作業部会」も作られている。

 さて、ZENKO(平和と民主主義をめざす全国交歓会)は今年に入って、辺野古新基地建設を阻止するためにZHAP(ZENKO辺野古プロジェクト)キャンペーンをDSA国際委員会と共同で進めている。先日のZENKOin大阪の分科会には、「アジア・オセアニア」小委員会のメンバーに加えて「反戦」小委員会のメンバーも参加した。

ZHAPがウェブサイトに

 「社会主義者の国際連帯とDSA」のセッションの中では、この「反戦」小委員会が各支部レベルでどのような活動をしているか、直近の取り組みが詳細に報告された。

 同小委員会は、2001年の9・11テロを口実に米国が「対テロ戦争」の名の侵略戦争を続ける「法的根拠」とされた01年「武力行使権限承認決議」(AUMF)について、その全面廃止を求めるキャンペーンを開始している。国際委員会も「AUMF廃止を求めて全国でキャンペーンに立ち上がろう」と声明を出し、委員会メンバーのいる全国の多くの支部が呼応した。

 具体的には、(1)当該支部の近隣にいる態度変更の可能性のある議員及び対テロ戦争で影響を受ける選挙区から選出されている議員を特定する(2)それらの議員に集中して電話かけ、署名集め、手紙書きをする(3)反帝国主義を明確にした記事を新聞に投稿する(4)街頭行動を、必要に応じて、お願い口調から明確な反対へとレベルアップする。これらをSNSでの情報拡散や地域の他の反戦グループとの共同行動なども広げながら展開した結果、少なくとも49人の共和党下院議員が賛成に回り、6月17日には連邦議会下院でAUMF廃止が可決され、現在上院に回されているという。

 今後ZHAPキャンペーンをDSAメンバーと共に全米に広げていく展望を感じることのできる報告だった。ZENKOが送ったビデオメッセージも、大会のウェブサイトにアップされた。DSA国際委員会と連帯して辺野古新基地建設を止めるため、違法工事の現場からの正確な情報をDSA側に伝え、バイデン政権に政策変更を求める世論を大きく広げたい。

(ZENKO・日南田成志)



 
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