2021年09月17日 1690号
【みるよむ(596)2021年9月4日配信 イラク平和テレビ局in Japan イラクの物乞いと抑圧―放置される子どもの搾取】
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イラクでは、路上で物乞いする人たちが増えている。2021年7月、サナテレビは全土で10万人にも及ぶ物乞いの実態を取材した。
カメラは、物乞いをする多くの人びとの姿を映し出す。レポーターは「米国がイラク戦争・占領を開始した2003年以来、物乞いが劇的に増えた」と言う。
米国が主導した「対テロ戦争」は2001年にアフガニスタンを占領(今年8月末、米軍が完全撤退)し、その後イラクを占領した。戦争と占領で何十万人もの市民の命が奪われ、医療も福祉、社会サービスも、市民生活全体が破壊された。
イラク占領後18年たった今も、グローバル資本とその利益を代弁する政府の大量失業政策と社会サービス破壊によって、膨大な困窮者が生み出されている。
世界有数の石油産出国であるイラクは決して貧しい国ではない。もともと教育は小学校から大学まですべて無料で、食料の無料配給が行われてきた。ところが、現在は推定10万人もの物乞いがいるという。
子どもの物乞いも
物乞いをしている人びとには、家庭内暴力から逃れてきた人もいれば、仲買人に売り渡された人、ISIS(いわゆる「イスラム国」)の暴力支配から逃れてきた人もいる。内務省の分析では、貧困線以下の生活の人たち、内戦が続くシリアからの難民、そして犯罪ギャングが売り飛ばした子どもたちとしている。
番組は、物乞いの子どもから搾取するギャングをバグダッド警察が取り締まる場面を取材している。こうした連中が人びとを支配し抑圧しているのだ。
サナテレビは、物乞いをさせられるホームレスの子どもたちを収容し保護する施設の権限の弱さを指摘し、政府が対策を取らなければならないと訴える。深刻な物乞いの問題を通じて、市民が政府に要求を突きつけ社会的に解決していこうと呼びかけている。
(イラク平和テレビ局in Japan代表・森文洋)
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