2021年09月24日 1691号

【自公・維新政治を変える市民と野党の共通政策/すべての選挙区で統一候補実現を】

 政治を左右する衆議院選挙が近い。マスコミは自民党総裁選挙に焦点を当てているが、所詮、党内の損得勘定を伝えているに過ぎない。コロナ感染爆発をはじめ、政治腐敗と弱者いじめをもたらした安倍・菅政治をどのように転換するのかを問わなければならない。

 そんな中で、「安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合」(市民連合)が「命を守るために政治の転換を」と訴える提言に野党4党(立憲・共産・社民・れいわ)が合意し、共通政策とした。

 これまで自民党は第2次安倍政権を生んだ2012年(294議席)、14年(291議席)、17年(284議席)と3回の衆議院選挙で過半数(240議席)を大きく超え「圧勝」してきた。参議院選挙(13年、16年、19年)でも自・公合わせて過半数を維持している。だが、政策が支持されたわけではない。1議席を争う小選挙区で自民批判票が分散したことが大きい。

 自民候補に勝つには、自民批判票を一つにまとめることだ。誰にでもわかることが思うようには進まなかった。17年の衆院選では、野党票がまとまれば63選挙区で逆転勝利していた。

 市民連合は15年、安倍政権下で進む戦争法制定、改憲の動きに対抗するいくつかの市民団体の共闘組織として結成された。「市民が野党共闘をリードする」ことを掲げた。16年、17年、19年の国政選挙で「政策合意」を基にした市民と野党共闘が徐々に広がりをみせてきた。コロナ対策をはじめ命を守る政策転換のためにその成果をより大きくし、今秋の衆院選、来夏の参院選で自公与党と補完政党維新の会に圧勝し、政権交代を切り開く必要がある。

安倍・菅政治の清算

 今回4野党が合意した政策は6項目。安倍政権が強行した憲法違反の一連の戦争法制の廃止にはじまり、「モリ・カケ・桜」の真相究明まで、いずれの項目も安倍・菅体制9年間の戦争・冷酷・腐敗の数々を清算するものになっている。菅が陣頭指揮をとった沖縄辺野古新基地建設の中止は一刻も早く実現すべき課題だ。

 最重点を置くべきコロナ対策では、医療体制の整備やエッセンシャルワーカーの待遇改善は当然として、自公政権が放置した倒産・失業などの打撃を受けた労働者や企業を救うための万全な財政支援を盛り込んでいる。財源は富裕層の負担強化を明記した。野党はこれをベースに具体的な政策を掲げるべきだ。

 この政策提言には45都道府県・140団体が賛同(9/7)している。政権交代を望む市民にさらに広がるだろう。全国の選挙区で野党統一候補の実現にむけ、市民がリードする運動が重要になってくる。

野党4党が実現に全力を尽くす共通政策(9月8日)

1 憲法に基づく政治の回復

■安保法制、特定秘密保護法、共謀罪法などの法律の違憲部分を廃止し、コロナ禍に乗じた憲法改悪に反対する。

■平和憲法の精神に基づき、総合的な安全保障の手段を追求し、アジアにおける平和の創出のためにあらゆる外交努力を行う。

■核兵器禁止条約の批准をめざし、まずは締約国会議へのオブザーバー参加に向け努力する。

■地元合意もなく、環境を破壊する沖縄辺野古での新基地建設を中止する。

2 科学的知見に基づく新型コロナウイルス対策の強化

■従来の医療費削減政策を転換し、医療・公衆衛生の整備を迅速に進める。

■医療従事者をはじめとするエッセンシャルワーカーの待遇改善を急ぐ。

■コロナ禍による倒産、失業などの打撃を受けた人や企業を救うため、万全の財政支援を行う。

3 格差と貧困を是正する

■最低賃金の引き上げや非正規雇用・フリーランスの処遇改善により、ワーキングプアをなくす。

■誰もが人間らしい生活を送れるよう、住宅、教育、医療、保育、介護について公的支援を拡充し、子育て世代や若者への社会的投資の充実を図る。

■所得、法人、資産の税制、および社会保険料負担を見直し、消費税減税を行い、富裕層の負担を強化するなど公平な税制を実現し、また低所得層や中間層への再分配を強化する。

4 地球環境を守るエネルギー転換と地域分散型経済システムへの移行

■再生可能エネルギーの拡充により、石炭火力から脱却し、原発のない脱炭素社会を追求する。

■エネルギー転換を軸としたイノベーションと地域における新たな産業を育成する。

■自然災害から命とくらしを守る政治の実現。

■農林水産業への支援を強め、食料安全保障を確保する。

5 ジェンダー視点に基づいた自由で公平な社会の実現

■ジェンダー、人種、年齢、障がいなどによる差別を許さないために選択的夫婦別姓制度やLGBT平等法などを成立させるとともに、女性に対する性暴力根絶に向けた法整備を進める。

■ジェンダー平等をめざす視点から家族制度、雇用制度などに関する法律を見直すとともに、保育、教育、介護などの対人サービスへの公的支援を拡充する。

■政治をはじめとした意思決定の場における女性の過少代表を解消するため、議員間男女同数化(パリテ)を推進する。

6 権力の私物化を許さず、公平で透明な行政を実現する

■森友・加計問題、桜を見る会疑惑など、安倍、菅政権の下で起きた権力私物化の疑惑について、真相究明を行う。

■日本学術会議の会員を同会議の推薦通りに任命する。

■内閣人事局のあり方を見直し、公正な公務員人事を確立する。
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