2021年09月24日 1691号

【市民活動と選挙活動をつなぐ試み やって楽しい「シールdeアクション」 民主主義を実践した横浜市長選】

 横浜市長選の中で注目されたのは市民が前に出た選挙運動だ。「平和と民主主義をともにつくる会・かながわ」の藤川祥子さんから報告が寄せられた。

 私は、日々の暮らしの課題に取り組む「市民活動」の延長線上に、その課題を解決するために私たちの代表としての議員や首長を決める「選挙活動」があるのが理想だと思います。

 けれども残念ながら現実の選挙では、候補者名を連呼しながらチラシをまいたり、電話をかけて投票をお願いしたり。選挙はまず名前を憶えてもらうことから、そして勝たなければ意味が無い、とは思いつつも、一般の人からは非日常的に見えるのが「選挙」です。選挙は社会課題への関心を高める良い機会のはずですが、当選が目的になることで難しくなる、というジレンマがあります。

 しかし、今回の横浜市長選挙で「平和と民主主義をともにつくる会・かながわ」が行なった「シールdeアクション」は、このジレンマを超える取り組みでした。メンバーは告示日から投票日前日まで毎日4時間、駅前の期日前投票所に続く通りでブースを設置し、「公立中学校の全員対象給食」「IR・カジノ誘致」「オリンピック開催」「コロナ患者の自宅療養」等のボードを掲げて通行人に賛成か反対かのシール投票を呼びかけました。

シール投票から対話に

 足を止め、シールを貼ってくれた人とその課題について話をし、その流れで横浜市長選の話題へ。「この課題を解決するなら山中さん」と、票読みにつながることが多い一方、話が弾んでも、投票先を聞くと「山中さんか小此木さんで迷っている」という答えも。そういう時でも私たちの思いを丁寧に伝えることができ、また、意見の合わない人との対話は、その違いの原因について深く考えるきっかけとなりました。

 この活動のご褒美は、若い世代との交流です。特に中学校給食は中高生にとっても身近な話題で、多く参加してもらうことができました。小学校5年生の子たちが各テーマを回り、真剣に意見を話してくれた時は、参加メンバー全員が元気になりました。

 様々な人との対話という民主主義の基本に立ち返り、また純粋にやって楽しい「シールdeアクション」は、これからの選挙活動の重要な要素の一つになると思います。

 
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