2021年11月05日 1697号

【1697号主張 自公・維新で命は守れない 政治を変えるのは市民だ】

野党共闘に自公危機感

 今回の総選挙(10/31投開票)は、2014、17年とはまったく異なる情勢となっている。過去2回、安倍自民党が右の「岩盤支持層」を固める一方、野党の複数候補共倒れが繰り返された結果、全有権者の約2割の支持にもかかわらず自民勝利が続いた。前回、小選挙区全体の2割でしか実現できなかった野党共闘が、今回は大きく前進した。市民連合と立憲、共産、社民、れいわの4党は共通政策を発表。国民まで加えると、全289小選挙区のうち7割以上、217選挙区で統一候補が実現した。

 過去2回、与党が圧勝した小選挙区も今回は与野党が互角の情勢だ。危機感を強めた自民党は10月21日、「全国各地で多くのわが党候補者が当落を争う極めて緊迫した状況」とする通達を各候補者に送付。候補者の引き締めを図る。通達を出した甘利幹事長自身が「政治とカネ」問題の直撃を受け、野党共闘新人候補を相手に当落線上とする報道まである。

 市民と野党共闘の前進はいま、9年間に及んだ「自公やりたい放題」政治を終わらせる展望を切り開いている。

静岡補選で自民敗北

 焦りを深める自民党は、立憲、共産両党間で成立した政権合意に対し「野党が勝てば日本は共産主義になる」「自由主義か共産主義かの体制選択選挙だ」などと幹部が発言。時代錯誤の反共攻撃を繰り返す。政策で勝負できず、市民の批判も高まるなど追い詰められた自民党が最後に使う常套(じょうとう)手段だ。また、朝鮮民主主義人民共和国の連続ミサイル発射を「国難」とあおり、票のかすめ取りを狙う。しかし、安倍・菅政権のコロナ無策と生活破壊、貧困に苦しめられた市民はそう簡単には踊らされない。

 岸田政権は安倍、菅両政権の路線を「転換すべきだ」が69%との世論調査結果(10/17共同)に見られるように、市民は安倍・菅政治の転換を求めている。だが、岸田にその意思はない。自ら自慢する「聞く力」も、その相手は安倍・麻生・甘利ら「3A」やグローバル資本だけとの実態が明らかになりつつある。

 10月24日の参院静岡補選では、自民党候補が野党推薦候補に敗れ現有議席を失った。岸田政権初の国政選挙で、自公への市民の強い怒りが改めて示されたのだ。

市民と野党共闘で勝利へ

 市民と野党共闘の大きな前進は政党間協議任せでは実現できなかった。支配層や連合、政権補完勢力の維新らの共闘破壊攻撃をはねのけ前進の原動力になったのは、市民が作ってきた現場の闘いと共通政策だ。

 自公維新の悪行に対し、市民連合と野党の共通政策が実現可能で有効な対案であることを選挙戦最後まで訴え続けよう。変えるのは市民の1票だ。

 (10月25日)
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