2021年11月12日 1698号

【1698号主張 2021衆院選結果が問うもの より一層 市民と野党共闘強化を】

自民勝利ではない

 今総選挙結果について、読売新聞は「自民単独過半数」「立民惨敗」と評価する。しかし、自民党は議席を276から261に減らした。甘利幹事長(神奈川13区)、石原元幹事長(東京8区)ら党幹部が落選しているのであり、自民が勝利したのではない。

 9月8日、市民連合と野党の共通政策の合意が実現し、全国217選挙区で野党統一候補が実現した。与野党対決の中、いくつもの選挙区で勝利を勝ち取った。

 だが、立憲民主党は109から96に、共産党は12から10に議席を減らした。これは明らかに日本維新の会が11から41に激増したことによるものだ。自公政権への批判の受け皿≠ェ維新に向かったために市民と野党の共闘が議席を伸ばすことができなかったのである。

批判を維新がかすめ取る

 朝日新聞による出口調査では、選挙区での無党派層の投票先は立憲が41%、自民が32%であった。特に与野党2党対決選挙区では57%が立憲で、自民は36%。一方、自民、立憲、維新が三つどもえの選挙区では立憲46%、維新、自民がともに23%であった。明らかに無党派層の票が割れることにより自民を利した。

 市民と野党の統一候補は自民党との対決は有利に進めたが、維新を交えての闘いでは維新が自公批判票をかすめ取り、野党統一候補が選挙区で敗北することとなった。維新は「身を切る改革」を掲げ、自公を批判しているかのように見せかけた。新自由主義推進であるにもかかわらず、市民のための改革≠フ仮面をかぶり続けた。

 このような維新の策動を打ち破り政権交代を実現するために、市民と野党の共闘が強く機能しなければならなかった。しかし立憲は共闘を強化する方向には動かなかった。枝野代表は共産党志位委員長とともに立つことをしなかった。連合芳野会長の「立憲と共産の距離感が縮まっていることについて、様々な地域から報告が来ており非常に残念だ」(10/22毎日)との批判に対応したのである。京都では立憲の泉府連会長が「(共産と)選挙協力できる環境にない」と公言した。

 こうした政党の党利党略的対応を突破するのは市民の闘いである。MDSは市民と野党の共闘を徹底して強化するために闘った(特に東京12・21区、大阪9区、滋賀1区など)。

共通政策実現の闘いで

 今必要なことは、共闘をゆるぎないものとすること、その中心に共通政策実現への市民の運動が座ることである。辺野古新基地建設に反対し東アジアの平和を築く闘い、命とくらしを守るコロナ対策と医療政策充実の闘い、富裕層・大企業に負担させ社会保障を拡充する闘いを進める中で、共闘をより強固なものにしていこう。

 (11月1日)
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