2021年11月12日 1698号

【沖縄戦戦没者遺骨収集ボランティア「ガマフヤー」 具志堅隆松さん/沖縄だけの声なら政府は封じ込める 戦没者の尊厳、人道問題として全国の自治体決議を】

 ことの発端は昨年4月、防衛省が申請した辺野古埋め立て工事の変更承認願に、沖縄南部地域からの土砂採取と書かれてあるのを知ったことです。防衛省を追及しても、まだ決まったわけではないとはぐらかします。

 政府は沖縄だけの問題ならいつでも封じ込めることができると思っています。そこで7月、沖縄県議会の決議(遺骨混じりの土砂を埋め立てに使わないこと、遺骨収集を政府の責任で行うこと)をつけて、全国の自治体に意見書採択の要請文を送りました。

 決議に反対する議員の意見に、辺野古基地反対に利用されるというものがあります。この決議は、基地に賛成、反対には関係なく、人道上の問題です。所属する党や組織の決定なのかもしれませんが、反対して失うものを考えてください。戦没者の遺骨を海に捨てて、心の安らぎが得られるのでしょうか。そんな議員に対しても非難するのではなく、広い心で受け止め、運動を拡げていきたい。

 「遺骨収集できれば埋め立てに使っていいのでは」という意見も聞きます。ですが、すでに75年経って、骨は風化して粉々。完全に収集することはできません。南部地域は国定戦跡公園です。未開発の緑地帯はわずかです。そのまま霊域として、戦争の記録として残しておくべきところです。

 沖縄はいじめられてきました。見えないように。でも声をあげて抗ってきた。いま声をあげられない戦没者にいじめが向けられているのではないでしょうか。

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