2021年11月19日 1699号

【国民議会選挙結果について イラク労働者共産党の声明要旨 お前たち(宗派主義と民族主義勢力)にも選挙にも政治プロセス全体にも正当性はない!】

 10月10日開票されたイラク国民議会選挙(総選挙、定数329)について同11日、暫定結果が発表された。シーア派サドルの政党連合が73議席で第1党、第2党だったファタハ連合が大幅減の14議席などだが、投票率は41%と過去最低だ。11月の現在も最終結果は出ず、宗派党派間抗争の中、連立交渉の混乱が続く。「総選挙結果と、それによって宗派の私兵が互いに威嚇し合う状況について」とするイラク労働者共産党の声明要旨を紹介する。

 いわゆる総選挙の暫定結果は、昨日発表されたが、イラクの政治危機を深化させただけである。カディミ首相は、10月市民蜂起後の「政治危機からイラクを抜け出させるために早期の選挙を行う」というウソをついた。それは、自由と平等と幸福を求めるイラク民衆の正当な要求を回避し、イランへの忠誠者と米国派の間の権力闘争を「解決」するという作りごとである。

 ファタハ連合の私兵とサドル運動との間で威嚇や抗争が引き起こされている。両陣営は、イラク民衆の流血に関与し、公然とデモ参加者の暗殺や誘拐を行ってきたのであり、腐敗政権を続けるために10月市民蜂起の弾圧に同意している。

 彼らは、選挙結果を治安の大混乱を拡大したことへの「対策」として利用しているにすぎない。政府を構成するすべての政党が選挙への参加を促進しようとしたが、イラク民衆の絶対多数は政治プロセス全体を拒否している。5回目の選挙の結果で明らかになったのは、多数派をだれが勝ち取ろうとも、それは私兵の力と窃盗や略奪で得た政治資金を持つ者であり、一方、選挙結果を拒否する連中も以前の自らの分け前より少なければ何も受け入れないという私兵勢力である。

 安全と平和への道は、カディミやサドル、腐敗したすべてのブルジョア階級が口にする「野放しの武器を閉じ込める」という美辞麗句ではやって来ない。彼らは「野放しの武器」によって流血と治安悪化を始めた張本人であり、カディミ自身、ハブビ広場やタハリール広場その他でデモ参加者が殺された時に、サドル運動の私兵の犯罪を容認することに関与しているのだ。

 「早期の選挙実施」と言うゲームにだまされなかったイラクの民衆に、我々は呼びかける。

 自由、平等、権利獲得を達成するために再び隊列を統一しよう。宗派主義と民族主義の権力が引き起こした生活悪化を終わらせる闘いを強め前進させよう。私兵による脅迫と、社会の治安と安全に干渉しようとする試みを跳ね返そう。

 多数の労働者や恵まれない人びとが「お前たち(宗派主義と民族主義勢力)の選挙と選挙結果にノー/政治プロセスにノー/私兵部隊にノー」のスローガンを掲げることが、安全で完全に持続的な平和を築く道となる。

 2021年10月12日
 イラク労働者共産党
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