2021年12月10日 1702号

【市民と野党の共闘で/ジェンダー平等を推し進めよう/OPEN(平和と平等を拓く女たちの絆)代表 茨木市議 山本よし子】

 先の衆議院選挙の結果、メディアなどでは「ジェンダー平等は後退」と言われている。本当に「後退」したのか考えてみたい。

 ジェンダー政策が国政選挙の争点として大きく押しあげられたたのは、今回が初めてだった。市民と野党の共通政策には、ジェンダー平等政策が盛り込まれた。野党の女性候補者は選択的夫婦別姓、LGBT平等法、男女の賃金格差是正などを訴えた。「女性の声を国会へ」との機運は高まっていた。特に若い世代の期待感が大きかった。「候補者・政党に特に取り組んでほしい課題」を尋ねるアンケートでは、30歳未満の人の回答の1位が「ジェンダー平等」で「コロナ対策」を上回った(ハフポスト10/31)。

 弁護士の角田(つのだ)由紀子さんが「(これまで)ジェンダー平等の課題は政治課題であることも無視されてきた。それに初めてきちんと光が当てられたのです」(11/3赤旗)と指摘しているように、決して後退したわけではない。

 ただ、期待されたほど結果がでなかったのは確かである。衆議院の女性議員の割合は、選挙前の9・9%から9・7%と減少した。大阪では、19選挙区すべて男性議員になった。

「性別役割」の壁克服を

 原因の一つは立候補の段階から女性候補者が減ったことだ。女性の社会参加をめざす「政治分野における男女参画の推進に関する法律」が作られ、「男女の候補者をできる限り均等にする」目標が明示された法律の下での初めての国政選挙だった。政府は「立候補者の35%を女性候補」と掲げたが、候補者1051人のうち女性候補は187人で17・7%、前回17年の時から23人も減っている。

 政党別に女性候補の人数と割合をみると、自民党33人で9・8%、公明党4人7・5%、日本維新の会14人14・4%、立憲民主党44人18・3%、共産党35・4%など。とりわけ政権与党のやる気のなさがきわだっている。クオータ制など法律で女性候補の擁立を義務づけることが重要だ。

 女性の候補者自体が少ないのは、選挙や議員活動をする上での困難が女性に大きくのしかかっているからではないか。その実態にも目を向けなければならない。

 内閣府が20年度に実施した「立候補を検討したが断念した者に対するアンケート調査」がある。断念した理由の上位には男女とも「資金の不足」「仕事や家庭生活のため選挙運動にかける時間がない」が並ぶ。「当選した場合、家庭生活との両立が難しい」は女性47・8%で男性より9ポイント高かった。

 つまり、「家事、育児は女性の仕事」という性別役割分担の大きな壁を取り払わなければ、女性議員を増やすことはできないことを示している。

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