2021年12月10日 1702号

【DSA(米民主主義的社会主義者)から連帯メッセージ/国際連帯を強化し、辺野古新基地建設をとめよう】

 ZENKO(平和と民主主義をめざす全国交歓会)主催の「2021スピーキングツアー」にDSA(アメリカ民主主義的社会主義者)国際委員会のメンバーから連帯メッセージが届いた。DSAはZHAP(ZENKO辺野古反基地プロジェクト)をともに進め、米バイデン政権与党の民主党内部で軍事費削減や在外米軍の撤収などを求めている。メッセージの概要を掲載する(まとめの責任は編集部)。

日米の植民地的支配

 米国政府がカリブ海のプエルトリコやアジア太平洋地域のグアム、アメリカ領サモア、ジョンストン環礁、北マリアナ諸島などで植民地的な関係を維持しているのと同様、日本政府も沖縄との植民地的関係を維持している。米政府・軍幹部たちは、この植民地的関係に終止符を打つ気など毛頭ない。ワシントンにとって、沖縄やアジア太平洋地域、さらには世界全体を軍事的に支配しやすいからだ。

 その結果、「普天間代替施設」とされる辺野古のみならず、グアムのキャンプ・ブラズでも新基地建設が進められている。米英豪の新たな軍事協定(AUKUS)によっても、アジア太平洋地域に新たな米軍基地の建設が狙われている。

 DSAは、敵は米帝国主義だと認識している。

 沖縄と同じく、プエルトリコ、グアム、アメリカ領サモア、ジョンストン環礁、北マリアナ諸島でも、かつて反対に立ち上がり、また現在も闘い続けている先住民がいる。ハワイでも、米国が植民地的関係を維持しており、先住民たちは米軍による島の占拠に反対している。

 米国本土にも何百という米軍基地がアメリカ先住民の土地に居座り、その多くが地域の環境に取り返しのつかないダメージを与えている。米国内でも基地撤去を求めている。

 私たちは国際的な視野を持って、米国内及び海外の植民地で起こっている軍事化と沖縄の軍事化をつなげて捉えることが大切だ。

 私たちは引き続き沖縄の人々と固く連帯し、その解放の日まで共に闘う決意だ。

(パターソン・デッペン/DSA国際委員会、反戦小委員会)


軍事費削減の闘いを

 沖縄県民の反対にもかかわらず、日米両政府は辺野古新基地建設を続けている。生態系破壊、海洋動植物の危機を招いている。埋め立てのために戦時中に亡くなった人びとの遺骨が掘り返される。

 日米政府は「中国の脅威」への回答として基地建設を進めているが、米軍はどんな役割を果たしているのか。

 米軍は1945年以来、沖縄に大規模な駐留をしている。沖縄は米国の核兵器前線基地としても機能している。これにより、日米韓+豪の防御壁となり、同時にこの地域全体の攻撃力となっている。実際、日本政府は自衛隊の増強を続け、軍事費は年間470億ドル(19年)、世界8位。米国が7千億ドルで第1位だ。日本は来年度、在沖米軍の駐留経費として19億ドル支払う。トランプが4倍化するよう求めた結果だ。

 これまで何度も軍事費削減要求があったが実現していない。だが今、要求しているのは、バーニー・サンダース上院議員やAOC(アレクサンドリア・オカシオコルテス)下院議員ら進歩派議員団のメンバーだ。

 在沖米軍基地を制限する議論すら行われてきた。

 私たちがめざすべき世界は、だれもが安心して暮らせる世界だ。何よりも子どもたちが最優先され、お年寄りも安心して暮らせる世界だ。私が80年にDSAに入ったのもそのためだ。世界中の人びとと共に進む運動を築こう。辺野古は私たち一人ひとりの闘いだ。

(ビル・イェイツ/国際委員会、アジアオセアニア小委員会、シアトル支部)


AUMFの廃止を

 私たちはここ数か月間、2001年と02年に制定された「軍事力行使権限承認法(AUMF)」の廃止を求めるキャンペーンを展開している。「対テロ戦争」を法的に承認するものだからだ。01年のAUMFは、9・11事件に関連する者ならだれにでも武力行使できる権限を与え、02年のものはイラク戦争を承認した。

 しかし、イラク戦争は10年前に正式に終わり、9・11の犯人たちをはるかに超えた範囲で軍事作戦は続けられている。いまだにこの法律が存在し、大統領に軍事力行使の権限を白紙委任しているのだ。

 現在、02年AUMFは下院ではすでに廃止が可決され、上院でも可決に必要な票が確保できそうだ。だが01年AUMFはより重大だ。これが過去20年にわる米国のほぼすべての軍事行動の法的な根拠となってきた。市民監視、個人特定、超法規的殺人等の根拠にもなっている。軍によるグアンタナモ刑務所での拘留・拷問の根拠にもなっているのだ。

 私たちは米帝国主義とその軍事介入に反対する。これらの行動は米国資本とその覇権を守り、世界中の人びとを犠牲にするものだからだ。この最も明白な例がアフガニスタンで起こったことだ。

 多くのDSA支部が9月、米国へ避難してきたアフガン市民の亡命を認め、亡命申請に係る多くの費用や障害を放棄するよう求めた。

 私たちは米国の軍事費及びその活動範囲がさらに拡大することを絶対に阻止しなければならない。辺野古新基地建設を共同の取り組みで阻止できることを心から願っている。ニューヨークから連帯。

(ディラン・エィウォルト・コンリ―/国際委員会、反戦小委員会の共同代表)


まとめ ZHAPをともに

 私たち左派は今、歴史上、決定的局面にいる。多くの人が資本主義だけでなく、米帝国主義に疑問を投げかけ始めている。DSA国際委員会が最大限に着目してきたことだ。社会主義者であるだけでなく、国際主義者であることの重要性だ。

 現在米国内では広範な社会主義者の戦線のみならず、反帝国主義そして反戦の戦線を築ける大きな可能性が広がっている。ZHAPキャンペーンが米国内の他の反戦団体や組織との接点となり、その共闘が拡大し続けることを望んでいる。

 これを実現するために、ウェビナー(オンライン・セミナー)でのシリーズ企画やイベントを実施し、ZHAPが生み出しつつある広範な反戦の戦線をさらに拡大していきたい。

 それとともに、私たちはここ米国内で(基地建設阻止に向け)どのような直接行動ができるか模索している。議会を通じたキャンペーンにとどまらず、辺野古基地建設で恩恵を受けている民間企業及びより大きな軍産複合体に対する行動を含めて考えていく。連帯!

(パターソン・デッペン)

MDSホームページに戻る   週刊MDSトップに戻る
Copyright Weekly MDS