2021年12月24日 1704号

【1704号主張 防衛省は不服申し立てを撤回しろ 新基地はただちに中止だ】

埋め立て強行に展望なし

 沖縄県の玉城デニー知事が辺野古新基地建設の設計変更申請を「不承認」としたことに対し、沖縄防衛局は12月7日、行政不服審査法に基づくとして国土交通相に不服申し立てをした。私人救済のための行審法を国の機関が利用するのは”私人へのなりすまし”だ。審査するのは身内の国交相であり、出来レースと言うほかない。玉城知事は「国交相は内閣の一員として辺野古新基地建設を推進する立場。公平公正な判断を行うのは事実上不可能だ」と批判する。地方自治を踏みにじる無法行為であり、断じて許されない。

 沖縄防衛局は、県による辺野古埋め立て承認の取り消しや撤回の際など、こうした手法を繰り返してきた。しかし、今回国交相が「不承認」を取り消しても、設計変更申請が承認されたことにはならず、大浦湾側の工事が開始できるわけではない。さらに何重ものハードルがあり、政府の思惑通りには進まない。

岸田の戦争・大軍拡

 沖縄の声には全く聞く耳≠持たない岸田政権は、辺野古だけでなく南西諸島での基地建設を強行し、憲法改悪と一体で戦争できる国づくりを進めている。

 「敵基地攻撃能力」の保有と軍事費のGDP比2%を狙う岸田は「防衛力強化加速パッケージ」として2021年度補正予算と22年度予算でミサイル配備や南西諸島の軍事要塞化を加速させる。補正予算案には軍事費約7700億円を追加計上。当初予算と合わせると軍事費は過去最大の6兆1160億円で、GDP比1・09%に達する。

 衆参両院で自民、公明、維新、国民民主ら改憲推進勢力は3分の2を占める。岸田は自民党総裁任期中の改憲に意欲を見せ、12月6日の所信表明でも「与野党の枠を超え積極的な議論を」とアクセルを踏む。維新・松井代表も「来年の参院選と同時に国民投票を」と煽る。危険な動きを止めなければならない。今必要なのは、安倍・菅政権の下で踏みにじられた憲法を市民の手に取り戻すことだ。

全国で不承認支持を

 辺野古への土砂投入が強行開始されてから12月14日で丸3年。来年1月には名護市長選、夏には参院選、11月には沖縄県知事選が行われる。辺野古新基地阻止にとって正念場の闘いが続く。不承認を支える闘いを全国に広げ、名護市長選・岸本洋平予定候補を勝利させなければならない。

 「辺野古『不承認』を支持」するネット署名は1万5千筆、ZHAP(ZENKO辺野古反基地プロジェクト)賛同署名も6千筆を突破した。各自治体12月議会では、遺骨混じりの土砂を埋め立てに使わせない意見書が次々と上がる。沖縄現地の闘いと連帯し、岸田政権の軍拡・改憲をストップさせよう。

 (12月14日)
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