2022年1月21日 1707号
(実発行日 1月14日)

【1707号主張 コロナ急拡大の元凶は米軍 軍事優先でなく命を守れ】

基地由来の感染爆発

 新型コロナウイルス感染が急拡大し第6波に入った。米軍基地由来の感染爆発であり、岸田政権が対策を怠って招いた人災である。米軍関係者は昨年9月以降米国出国前検査を取りやめ、1月6日まで入国時検査も行なっていなかった。

 沖縄では、12月に米軍キャンプ・ハンセンで大規模クラスターが発生。外出禁止など県の要求は2週間以上放置され、ようやく1月6日に政府は「感染対策強化」を米国に要請したものの米軍任せで実効性はない。県は韓国のように入国後検査の日本側実施を求めたが、米軍は拒んでいる。

 山口県岩国市では、確認されたウイルスゲノムが米軍基地内と繁華街で同一型と判明。基地が感染源であるのは明白だ。ところが岸田首相は「米軍側の全ゲノム解析の結果待ち」で「感染拡大の原因が米軍とは断定できない」と認めない。

 全国知事会で、玉城沖縄県知事らは検疫法を米軍関係者にも適用させる日米地位協定改定を強く要請した。主権国家が検疫権を持つのは当たり前だが、岸田は「地位協定を変えることは考えていない」と拒否した。

 市民の命と健康を守るため、即刻全国の基地を封鎖し、米軍人・軍属の入国と基地外への外出を禁止すべきだ。日米地位協定は直ちに改定しなければならない。

 人命や地球環境にとって脅威でしかない軍事基地の危険性が一層明らかになったいま、すべての基地を撤去することこそ最善策だ。

軍事優先の22年度予算

 しかし、この期に及んでも岸田政権は辺野古新基地建設工事を続け、軍事優先の姿勢を崩さない。

 2022年度予算案には、軍事費を過去最高の5・4兆円計上し、21年度補正予算と合わせれば6兆円を超える。「思いやり予算」(在日米軍駐留経費負担)もこれまでより年220億円近く増額し年平均約2110億円。辺野古関連に約1200億円を投じる一方、沖縄振興一括交付金を219億円減額した。新基地建設に反対する沖縄県に対する露骨な嫌がらせだ。

 主なコロナ対策予算は予備費5兆円のみで、個人や事業者への給付金も盛り込まれていない。社会保障予算では、高齢化に伴う自然増分を2200億円削減し、医療機関や保健所の体制を拡充する対策費は皆無。診療報酬はマイナス改定で、病床削減を推進する地域医療構想も改めない。

命とくらしへ組み替えを

 戦争・新自由主義路線を継続する22予算案は、抜本的に組み替える必要がある。

 名護市長選(1/16告示、1/23投開票)に勝利して辺野古新基地を止め、軍事費を削ろう。コロナ対策、医療、福祉、教育の予算拡充を実現させよう。消費税を廃止し、財源は大企業・富裕層への課税強化で確保しよう。

 (1月9日)
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