2022年1月21日 1707号

【維新大阪府市政のカジノ誘致 液状化・汚染で790億円の市負担判明 税金で賭博場をつくるな】

 維新大阪府市政は、カジノ誘致のための「区域整備計画案」について2〜3月の府市両議会で同意を決議しようとしている。税金を使って大阪に賭博場をつくる維新のIR(統合型リゾート)・カジノ誘致は止めなければならない。

「税金使わぬ」公約破棄

 「IR、カジノに税金は一切使いません」―松井大阪一郎市長が府知事だった2016年に断言した公約だ。しかし松井は、その公約を投げすて、賭博場をつくるために市民の税金を注ぎ込もうとしている。

 カジノ予定地の大阪市此花(このはな)区・夢洲(ゆめしま)で、地震の際に土地が液状化する危険性が判明。さらに昨年1月、市の調査で基準値を超えるヒ素やフッ素が検出された。その土壌対策として790億円を市が負担するというのだ(12/21)。

 しかし、こうした事態は最初から容易に予想されていた。夢洲とは、1977年から市が建設残土やごみの焼却灰を含む廃棄物の処分地として整備を始めた人工島だ。18年9月には10年以上にわたって産業廃棄物が不法投棄されていたことも明らかになった。

 そのため、埋め立てなどに約3000億円投じたにもかかわらず、以前から災害に弱い土地で軟弱地盤による沈下や液状化、土壌汚染が指摘され、副都心計画はとん挫し、企業進出も進んでいなかった。

カジノ事業者に便宜供与

 このことを知っていながら「税金は一切使いません」と市民を欺いて計画を進め、土壌汚染などが明るみに出るや、巨額の税金をつぎ込む。しかも、夢洲と同じ大阪湾の埋め立て用地の売却で、市が土壌改良費を負担したケースはないにもかかわらず、松井は「IRが成り立つ土地を提供するのが市の責務だ」と詭弁(きべん)を弄(ろう)して税金投入を決めた。これは、府・市がカジノ事業者に選定した米MGMリゾーツ・インターナショナルとオリックス連合への便宜供与にほかならない。

 また、松井は、対策費は埋め立て地の費用や売却益でまかなう「港営事業会計」から出すため「市民負担ではない」と強弁するが、公金を使うことに変わりはない。さらに、市の内部資料によると、松井は「港湾会計が破綻しないよう一般会計で支えるのが当然」と強引に主張し、財政局の反対を押し切って一般会計からの資金支援も検討することにしてしまった。要は、カジノという賭博場をつくるために巨額の市民の税金を勝手放題に使う気なのだ。

 一方で、松井は、市民負担が増えるという批判に対し、「カジノの経済効果は年1兆2000億円」「大阪市だけでも毎年550億円、借地料が毎年25億円、これらが市民へのリターン」で市民負担はないと反論する。しかし、過大評価と以前から指摘される経済効果の根拠データは今も非公開。情報公開すら拒んでいる。夢洲の土地売却がなくなったため、確実なのは年25億円の借地料だけだ。

 そもそも、コロナ禍でカジノ業界は業績悪化に苦しみ、世界最大規模のカジノ運営会社の米ラスベガス・サンズは「収益性に対する疑義」から日本進出を断念している。こんな状況で、790億円の税金支出が市民負担ではないという理屈などなりたつはずがない。

 いったん税金を投入すれば、カジノ誘致のために次から次へと市の一般会計から支出され、市民負担は増大するのは目に見えている。

説明会でも反対噴出

 1月7日に行われたカジノ計画案の初の住民説明会では、市民からは790億円の費用負担やギャンブル依存症への不安など、カジノ誘致反対の声が相次いだ。市民はカジノ誘致を望んでいないのは明らかだ。グローバル資本のもうけのために市民負担を増大させる維新のカジノ誘致を止め、市民のために税金を使う府市政に変えよう。



 
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