2022年1月21日 1707号

【ミャンマー(ビルマ)の今を知るオンライン講座/軍政に抵抗 民主化求める民衆/日本は非人道的ODAの停止を】

 2021年2月1日の軍事クーデターからまもなく1年が経とうとしている。連日のように見られたメディア報道は極めて少なくなってしまった。国軍による市民の武力弾圧や飢餓すら伝えられる経済制裁下の市民生活はどうなっているのか?=\ティンウィンさん(元国民民主連盟〈NLD〉メンバー)に講師をお願いし、「ミャンマー(ビルマ)の今」を知るオンライン講座を始めた。第1回講座の概要を報告する。

 「クーデターで10年にわたる民主化運動は一夜にして終わり、その行方はいまだ予断を許さない。軍部は全国で民主化を求める民衆の強い抵抗に直面し、経済は破綻、国は人道的危機に瀕している」と語り始めたティンウィンさん。12月初めの出来事を紹介した。12月5日、ヤンゴンで、平和的な反クーデターデモに軍のトラックが猛スピードで突っ込み5人が死亡、数人が負傷。兵士は、逃げるデモ参加者に発砲し、暴行を加えた。6日には、ビルマ中部のサガイン地域の村で十代の若者を含む11人が捕えられ、虐殺された。多くは生きたまま焼かれたと言われている。

 「経済は衰退し、貧困の深刻化と高い新型コロナウイルス感染率をもたらしている。軍需企業は米英や欧州連合による重い貿易制裁に直面し、それが軍部の指導者にプレッシャーを与えた。彼らは、国民に燃料使用や食用油消費、米の消費を減らすよう促している」

 教育・環境も危機的だ。「コロナの影響で7月に全国的に閉鎖された学校は11月に再開されたが、高い治安リスクと市民的不服従運動で、登校する生徒は少ない。千人以上の子どもたちが拘束され、2人が死刑判決を受けている」「軍政による世界有数のヒスイ鉱床の過剰採掘や木材の違法伐採によって、世界有数の生物多様性を誇るビルマの自然は破壊されている」

日本政府は二重基準

 ティンウィンさんは「日本は、クーデターに批判的な政府と公式に提携する一方で、軍事政権との外交関係をますます正常化させるというダブルスタンダードのゲームをしているように見える。日本は、現在進行中の非人道的ODA(政府開発援助)プログラムを停止し、同盟国と協力して、ミャンマーの将軍たちとその経済的利益に対するターゲットを絞った制裁を迅速に課すべきだ」と指摘する。

 この提起を受けて、次回はミャンマーODAを討議する。オンライン連続講座(ZOOM使用)へのご参加をお願いします。

◆第2回 1月20日(木)20時〜21時30分 「ミャンマーODA」
◆第3回 2月17日(木)20時〜21時30分 「日本の市民運動の課題」
 申し込みは三ツ林(y-mitsuba@jcom.zaq.ne.jp)まで

(戦略ODAと原発輸出に反対する市民アクション<コアネット>・三ツ林安治)

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