2022年1月28日 1708号

【1708号主張 コロナ感染爆発は人災/岸田では命は守れない】

医療ひっ迫目前の危機

 新型コロナウイルス感染の爆発的な拡大がとまらない。1月19日、全国の新規陽性者数は初めて4万人を超え、東京、大阪など各地で過去最多を大きく上回った。12日の厚生労働省発表でも、「自宅療養者」は1万8千人、入院できない人も4倍に急増。医療供給態勢のひっ迫は必至だ。

 この感染爆発は人災だ。

 「震源地」が在日米軍基地だったことは明白にもかかわらず、岸田首相は、米軍の入国禁止はおろか、検疫免除等の特権を与える日米地位協定を見直すなど考えもせず、市民の生命・安全よりも日米軍事同盟を優先する姿勢をあらわにした。

 新たなコロナ対策(1/11)でも、オミクロン株感染者は重症化率が低いとして、新型コロナ感染者の全員入院から「在宅・宿泊療養」=自宅放置中心へ転換する。また、12歳未満の子どもへの接種や3回目接種の推進など、なおワクチン一辺倒≠セ。

 感染症対策の基本であるPCR検査の拡大と適切な医療の下の保護・隔離、臨時病院や保健所など医療・公衆衛生体制の抜本的拡充はなく、ここに至っても新自由主義的な医療削減路線を貫こうとしている。

命もくらしも顧みない

 岸田政権は、17日開会の通常国会でも、医療体制や生活保障の拡充を拒み、ワクチン接種の前倒しを最大のコロナ対策とする。命もくらしも顧みない政策だ。

 これを後押しするように、安倍元首相や小池都知事、松井大阪市長らが、コロナの感染症法上の分類を公費による入院を基本とする「2類相当」からその必要のない「5類」に引き下げることを求めた。「病床や宿泊療養施設の確保」(小池知事)「インフルエンザと比べ命に大きく関わる症状ではない」(松井市長)が理由という。だが本当の狙いは、命を守るために本来必要な病床数を減らすことだ。感染急拡大に伴い重症者は増えており後遺症も大きな課題で、決してインフル並み≠ナはない。

 経済活動至上と一体で主張される「5類」引き下げ―ただの風邪∴オいへの動きは、命を脅かし、医療費負担増を市民に強いる。自宅放置を正当化し、公衆衛生や医療費など公費支出を削減する口実でしかない。

地域から根本的転換へ

 東京・大阪はじめ無症状者への無料PCR検査、高齢者施設等の定期検査実現は市民の運動の反映だ。国の責任に基づく「いつでもだれでも無料」の検査へ拡大し、臨時病院など医療拡充を実現することが必要だ。

 全国知事会は、無料PCR検査の対象拡大と全額国庫負担の徹底、12歳未満のワクチン接種について慎重な検討、副反応等の情報発信などを緊急提言した(1/12)。地域から声を上げ、政府にコロナ対策の根本的転換を迫ろう。

 (1月19日)
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