2022年1月28日 1708号

【ドクター 子どもへのコロナワクチン接種は有害無益】

 新型コロナウイルス・オミクロン株の水際対策は、米軍基地から一挙に崩れ、今や全国的に激増しています。何の充実もされなかった公衆衛生機関はすでに大変になり、今後病院がひっ迫することも予想されます。

 岸田内閣は、3回目のワクチン接種を急ぐとともに、なんと12歳未満の子どもへのワクチン接種を開始する、との方針がマスコミで肯定的に流されています。

 12歳未満を対象とした、ワクチンの効果は9割程度などと宣伝されていますが、その害も含めて子どものためになるのでしょうか。

 まず、20歳未満へのワクチン接種は、子ども自体の利益にはなりません。コロナによる死亡は、世界7か国のデータを分析した英ランセット論文では、人口10万人当たり0・17人と推定されています。日本では、コロナで亡くなったのは20歳未満で3人、10歳未満はなしです。「死亡」を減らすという最も重要な目的の達成は不可能なのです。

 他方で、コロナワクチン接種後に亡くなっている20歳未満の方は4人です。これまで接種してなかった12歳未満も、接種されれば死亡者が出る可能性があります。むしろ死亡を増やし、害(特に長期の)も不明なワクチンを使うことは、非人道的だと思いませんか?

 それでは、子どもへの接種によって、感染増加を防げるのでしょうか?

 まず、これまでの世界の研究で、子どもが感染を広げるとの事実は認められていません。

 昨年中の小学生への感染経路の8割が家族内感染と実証されています。小児への感染予防には成人が感染を家庭に持ち込まないことが重要(日本小児科学会など)なのです。また、コロナの感染経路の8割が家庭内での感染です。「(子どもへの)ワクチン接種の、大人への感染に関する役割はほとんどない」と明記している論文もあります。

 たとえ、オミクロン株では子ども同士の感染がある程度あったとしても、イスラエルなど子どもへの接種を拡大している国々でもオミクロン株は大流行です。

 岸田内閣が12歳未満への接種拡大を何か「積極的な政策」として売り込もうとすることは、こどもの人権を無視した危険な政策です。

 その昔、「企業戦士」を休ませないために、学童にインフルエンザワクチンを強制し、子どもの犠牲者を多数出した「学童防波堤」政策を思い起こします。

(筆者は小児科医)
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