2022年1月28日 1708号

【東京高裁は証人尋問・現場検証を 東電刑事裁判控訴審 2・9第2回期日に向け支援団が集会】

 東京電力旧経営陣による放射能大量放出犯罪の責任を問う裁判の控訴審が2月9日、2回目の期日を迎える。これを前に、東京高裁に証人尋問と現場検証を求める集会が1月15日、都内で開かれた。福島原発刑事訴訟支援団が主催した。

 科学ジャーナリストの添田孝史さんが「刑事裁判がなければ闇に埋もれていたこと」と題し、リモートで報告。「土木調査グループの実務担当社員は『15・7b津波対策は不可避』と認識していたが、武藤栄被告ら役員層により『先延ばししよう。専門家に根回しして了承してもらおう』という動きになった。国会事故調や政府事故調では明確でなかった東電内部の細かい意思決定過程、事故が起きた経緯のワンステップ・ワンステップが刑事裁判で見えてきた」

 法務省が昨年秋に開示した刑事裁判の証拠文書(ハードディスク上で消去されたメールデータを検察官役指定弁護士の請求に基づき復活・抽出したもの)の数々を示し、「刑事裁判がなかったら何十年後の人が検証しようとしてもできなかっただろう。さらなる事実の解明が一番期待できるのは刑事裁判。裁判官による現場検証と証人尋問がなければ、それが途切れてしまう」と警鐘を鳴らした。

 支援団団長の佐藤和良さんは「控訴審が実のあるものになるかどうかは、第2回公判で現場検証と申請した3人の証人調べが採用されるかどうかの一点にかかっている」と強調。「刑事裁判で真っ先に思い出すのは、2012年2月の原発民衆法廷。河合弘之弁護士が『こういう巨大な犯罪は個人の責任を追及しない限り必ずうやむやにされる』とはっきりおっしゃった」と振り返ったのは、福島原発かながわ訴訟原告団長の村田弘さん。支援団副団長の武藤類子さんは「事故から10年。福島では正義の通らないことばかりが起きている。このような社会を未来の世代に残すわけにはいかない」と訴えた。

 被害者代理人の弁護士3人もマイクをとり、「2月9日には裁判所はもう腹を決めている。それより前、1月21日の『現場検証を求める署名』提出行動で高裁を取り囲もう」(海渡雄一弁護士)と呼びかけた。

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