2022年02月11日 1710号

【1710号主張 コロナ感染自宅放置は殺人だ/検査と医療拡充で命を守れ】

自己責任で脅かされる命

 新型コロナウイルス・オミクロン株による爆発的感染拡大が続いている。1日あたりの新規陽性者数は2月2日に過去最多を更新し9万5千人に迫る。入院患者急増で医療はすでにひっ迫状態だ。消防庁によると、1月23日までの1週間で救急搬送困難事案は過去最多の4950件。厚生労働省発表では、全国の“自宅療養者”は26万人に急増し、療養先調整中も10万人にのぼる(1/26時点)。隔離・医療保護や入院が必要な人が自宅に放置され、命の危険にさらされている。

 岸田政権の「自宅療養」=入院制限方針は、さらに検査から診察の制限に及ぶ。呼応した東京、大阪などの対応は自己責任を強要するものだ。小池都知事は50歳未満の無症状・軽症者が自分で健康観察とする「うちさぽ東京」を開始。神奈川県も無料検査等の陽性者に医療機関を受診させない「自主療養」制度を開始した。維新・吉村府知事は39歳以下の陽性者に保健所からの連絡も行わず、検査なしで陽性とみなす“みなし陽性”制度まで導入した。

 感染者の自宅放置は殺人に等しい。第4・5波の悲劇を繰り返してはならない。撤回させ、緊急の臨時医療施設増設をはじめ、大規模検査・医療態勢拡充へ直ちに財政支出が必要だ。

医療削減路線に固執

 岸田首相は新自由主義のもと、医療を削減し続けている。自公政権はコロナ禍のこの2年間、大規模検査と保護のための保健所や医療の体制を抜本的に拡充することを拒み、今もワクチン頼み一辺倒≠セ。

 そればかりか、最前線で苦闘する医療機関に対して、発熱外来補助金を打ち切り、診療報酬を切り下げるなどのでたらめを平然と行っている。2022年度予算案では、病床削減・病院統合への地域医療構想推進に756億円を投じる一方、保健所の人員増にはわずか6・4億円しか計上しない。

 市民の命を守るために、史上最大6・2兆円の軍事費をはじめ、無用なリニア、万博、IR・カジノ、大規模開発などの予算を削り、緊急に必要なコロナ対策に回させなければならない。

市民の声で転換を

 全国知事会の緊急提言(1/28)には、PCR検査の完全国庫負担化、保健・医療人材の確保、保健所機能の強化、事業者・生活困窮者への支援などが盛り込まれている。実現させるのは市民の声と運動だ。

 ZENKO(平和と民主主義をめざす全国交歓会)は、2月2日官邸前抗議行動、政府・都への要請を行い各地で要請行動を続ける。

 公衆衛生と医療への公的責任を放棄し市民に責任を転嫁する国と自治体に要求を突きつけ、政策転換を迫ろう。命と健康、くらしを守るため、22年度予算の根本的な組み換えを実現しよう。

 (2月2日)
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