2022年02月11日 1710号

【沖縄・辺野古新基地断念を米政権に迫る/DSA(アメリカ民主主義的社会主義者)と3月オンラインパネル/幅広い米国反戦団体との共闘へ】

 平和と民主主義をめざす全国交歓会(ZENKO)はアメリカ民主主義的社会主義者(DSA)と協同して、米国バイデン政権に沖縄・辺野古新基地建設断念をせまる運動を進めている。名付けてZHAP―ZENKO辺野古反基地プロジェクト。いま、米国内の平和団体や環境、人権団体などに広く辺野古の実態を拡げようとオンラインパネル成功にむけ努力が重ねられている(国際会議に参加している本紙編集部員が読者の質問に応える)。

Q.どんな企画なのですか

 オンラインパネルは、ネット会議アプリを使ったパネルディスカッション。パネリストから報告・問題提起を受け、参加者が討論するイメージです。実際どんなものか。アメリカ民主主義的社会主義者(DSA)国際委員会のウェブサイトをご覧ください。「Political Education(政治教育)」のメニューをクリックすると、21の動画を見ることができます。ZENKOがコロナ下で取り組んできたスピーキングツアーに似てますね。

 辺野古新基地問題のオンラインパネルは3月19日土曜日に開催します。米国の東海岸では午後8時、西海岸では午後5時。日本では20日日曜日午前10時です。

 米国市民に辺野古のどんな点を伝えるべきか。多くの論点があり、1回のパネルに押し込むのは無理なので、連続企画にできればと構想されています。

 第1回目のテーマは辺野古の軍事戦略上の役割をあぶり出すことです。パネリストは、ZENKO森文洋さんと沖縄ドローンプロジェクト奥間政則さん、米国から「WORLD BEYOND WAR(戦争のない世界)」代表リー・ボルガーさんの3人。ボルガーさんは、「Veterans for peace(平和を求める元軍人の会)」元代表でもあり、基地撤去運動の先頭に立って闘ってきた活動家です。海外に800以上ある米軍基地が深刻な被害を地域に引き起こしていると指摘する「基地撤去キャンペーン」のサイトは普天間基地の写真が使われています。

Q.辺野古は知られてますか

 たとえば、カリフォルニア州バークレイ市では2021年2月に「辺野古新基地建設反対、工事即時中止」の市議会決議が上がっています。15年の「辺野古移設反対」決議に続き、2度目です。沖縄系米国人などの精力的な活動が実を結んでいます。絶滅危惧種ジュゴン保護のため建設中止を求める訴訟は、日本のジュゴン保護キャンペンセンター(SDCC)と米国の生物多様性センター(CBD)が共同して取り組んでいます。DSAのオカシオコルテス下院議員らには沖縄に対する制度的差別撤廃を訴える手紙が届いているそうです(『世界』21年9月号、平安名純代)。

 米国では反戦・平和団体や環境団体などの活動家は注目していますが、広がっているとは言えません。日本でも本土での関心は高いとは言えないですからね。

 昨年5月、ZHAPをスタートした頃、DSAとの会議では「DSA内部でも辺野古の問題を知る人は多くない」と言われました。そんなこともあり、オンラインパネルの企画が持ち上がったわけです。

 辺野古問題をどう伝えるか。DSA全国政治委員会のヘルナンデスさんはZENKOスピーキングツアーで「沖縄の人びとに対する今も続く抑圧、アジア太平洋地域の生態系の破壊と軍事化」に立ち向かい「辺野古建設を阻止しよう」と呼びかけました。

 ヘルナンデスさんが指摘するように、人権抑圧、環境破壊、軍事化、この観点からDSAの中にも辺野古問題を拡げることができるでしょうし、より幅広い団体が取り組めば、バイデン政権に辺野古断念を迫る圧力になるでしょう。

Q.日本政府が固執しているのでは

 新基地に固執しているのは日本政府ですね。

 昨年1月、陸上自衛隊と米海兵隊が辺野古新基地に陸自「水陸機動団」を常駐させることを15年に合意していたことが暴かれました。「ゆくゆくは自衛隊の基地になる」と公言する関係者もいます。自衛隊が渇望している基地であることは間違いありません。

 日本政府は「米軍普天間基地の代替施設」を隠れ蓑にしながら、まったく新しい位置づけの基地をつくろうとしているわけです。辺野古建設が「唯一の解決策」だと米政府と口裏を合わせ、ウソの看板を掲げ続けています。

 米国側は辺野古基地は当分完成しないものとして扱っています。海兵隊の年次報告「2019海兵航空計画」から辺野古基地は消えています。米議会調査局(CRS)の報告書(21年4月)には「物理的に困難」の記載があります。米軍の広報誌「星条旗」にも軟弱地盤や膨大な建設費、変更設計不承認など、悲観的な報道がされています。軍も議会も完成するとは思っていないでしょう。

 しかし米政府は「唯一の解決策」が実現しないことをいいことに、「世界で最も危険な普天間基地」を20年、30年と継続使用しています。辺野古を待たずに、すぐさま使用をやめろと米政府に決断を迫る。そんな形で「辺野古断念」を表明させることもできるのではと思います。

Q.断念させるには何が必要ですか

 国際連帯の闘いを強化することでしょう。DSA国際委員会は米国議会代表にあて、米国イノベーション・競争法(USICA)反対の公開質問状を出しています(1/25)。USICAは昨年6月上院を通過し、下院で審議されていますが、中国との軍事緊張をあおり、軍事費拡大を正当化するものだと批判しています。東アジアの平和を築くうえで、重要な取り組みです。

 対中国日米共同作戦は南西諸島を戦場にする計画であり、日本列島を防波堤にする戦略でもあるのです。日本が沖縄を捨て石にし、米国が日本を捨て石にするとでも言えるでしょうか。

 今年は、沖縄復帰50年。米軍占領下で銃剣とブルドーザーにより奪われた沖縄県民の土地を日本政府が米軍に提供することになって50年とも言えます。そうしてできた普天間基地と辺野古新基地を引き換えにする企てこそ、節目の年に終わらせなければなりません。この点でも日米市民の共同行動はますます重要になっていると思います。

 地位協定を見ればわかるように、いまだに米軍の占領支配は続いている状態です。日米両政府の帝国主義に反対する運動をより強固に、より広くしていくこと。グローバルな視点で辺野古問題を拡げるチャンスとして、DSAのオンライパネルを成功させたいものです。ご注目ください。





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