2022年02月18日 1711号

【議会を変える、市民と変える/京都府向日市議 杉谷伸夫 市民プール問題 利用者の声聞かずに決定などありえない】

 昨年11月、向日(むこう)市は市の公共施設「ゆめパレアむこう」(市民温水プールと健康増進センターの複合施設)を、この4月から1年間休館し、今後のあり方を検討する意向であることが明らかになり、大きな問題となっている。

 市民温水プールは、約37億円をかけて28年前に建設され、周辺市町からの利用者も多いりっぱな施設だ。なのに、なぜか?

 多額を要する大規模な設備更新の必要に迫られているからだが、それだけではない。市は言う「今は近隣に民間の温水プールもできており、市が税金をかけて維持しなければならない必要性が減った」と。そしてコロナ禍での利用者減少で、事業者から指定管理料の大幅値上げを求められていることが契機となった。そして昨年末に、4月からの休館を発表したのだ。

 問題はいくつもあるが、私が特に問題として取り上げているのは、市が肝心の利用者の意見を聞く場を持たず、一方的に決めたことだ。

 私は、新聞報道された直後に緊急の市民アンケートを行ったところ、わずか10日の間に300人を超える利用者・市民から意見が寄せられた。「高齢者の健康維持と介護予防に、無くてはならない施設です。杖をつきながらの方も来られています。こんな方たちの行き場が無くなる」など、思いのこもった意見ばかりだった。

 そして何とかしなければと、利用者の皆さんが中心となって、現在市長と議会議長あてに存続を求める要請署名活動に取り組んでいる。

 そんな中で、当初「説明会は開かない」と言っていた行政の姿勢も少し変わった。利用者の強い要望を受け、説明会を急遽(きゅうきょ)3回開催した。また「存廃の検討ではなく、どうすれば継続できるかを検討する」と表明した。だが一方で、「その検討委員会に、私たち利用者は参加できるのか?」との質問には、「まだ何も決まっていない。今後考える」と言葉を濁した。

 しかし今後のあり方を決める場に、肝心の利用者が参加できないなどということはありえない。利用者代表を入れて、「ゆめパレアむこう」の今後を検討する場を設置し、市民にオープンに議論を進めるべきだ。利用者の声を一切聞かず、4月からの休館を一方的に発表した愚を繰り返させてはならない。

 2月末から始まる予算議会で強く求めてゆきたい。  
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