2022年02月18日 1711号

【みるよむ(608)2022年2月5日配信 イラク平和テレビ局in Japan イラクの労働者は現代版の奴隷状態だ】

 イラクでは、失業率は高く、賃金は低い。労働条件も劣悪なままだ。2021年10月、サナテレビは「奴隷状態」とも言える労働者の実態を取材した。

 冒頭に登場する若い労働者が、ヨーロッパとイラクの清掃労働者の賃金を比較している。日本円に換算すると、ヨーロッパでは月収22万円であるのに対し、この清掃労働者の賃金は63日分で2万7千円しかない。20倍、30倍という格差だ。

 レポーターは「イラクの労働者は現代版の奴隷状態にある」と訴える。特に民間部門では、労働者と雇用者の関係を規制する法律さえ存在しないという。

 労働者の多くは労働時間が1日10時間だが、日当は10ドル(約1150円)以下だ。大きな利益を上げている事業体でも、1日7ドル(約800円)という職場がある。大学を卒業し、コンピューター業務の経験を持ち、外国語が使いこなせても扱いは変わらない。

 中には多少は高い賃金を払う事業体もあるが、労働時間が1日14時間にもなる。石油産業では「休みなしに72時間ずっと職場にいて、それからやっと帰宅が許される」。しかも健康保険も社会保険もない。

1日800円で暮らせ?!

 平均的な日雇いの契約労働者や清掃労働者は、1か月の賃金が25万ディナール(約2万3千円)である。これは1日800円で暮らせ≠ニいうことであり、1人の生活に必要な額にさえまったくたりない。

 「奴隷扱い」にもかかわらず、政府からは何の支援もない。「労働者は、自分たちは社会ののけ者にされていると感じ、屈服感に傷ついている」という状況なのだ。

 しかし、こうした低賃金や劣悪な労働条件に対し、非正規雇用の労働者や石油産業の労働者らが立ち上がり、自らの権利を守るために闘っている。日本からも連帯していきたい。

(イラク平和テレビ局in Japan代表・森文洋)

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