2022年02月18日 1711号

【避難者追い出し裁判第5回弁論 県の怠慢を突く堂々の意見陳述】

 原発避難者追い出し裁判の第5回口頭弁論が2月4日、福島地裁で開かれた。この日のメインは、母子避難した当事者の意見陳述。わずか7、8分の限られた時間では思いの一端しか語れなかったが、原告(福島県)の行政の怠慢を突く陳述となった。

 当事者は、裁判所前での事前集会で「初めてのことで緊張しているが、今日は言いたいことをいっぱい話したい」とあいさつ。駆けつけた支援者から「がんばれ」「応援してるよ」の声がかけられる。

 法廷では、避難してから住居と職を転々としてきた経過を述べ、「福島県は(相談や安価な物件の紹介どころか)訪問して追い出しにかかることしかしてこなかった。すごいプレッシャーだった。住宅が無償提供だったから生活できた。公営住宅を希望しても世帯要件の壁で入れなかった。持病の腰痛で職が安定しないのにどうして裁判で退去を迫るのか、納得いかない」と訴えた。

 代理人の柳原敏夫弁護士は、内堀雅雄福島県知事が無償提供打ち切りを発表した2015年6月15日の決定過程・議論・判断理由の開示等を要求。「問題の出発となった決定過程が全く明らかにされていないため、まともな議論・反論もできない」と求めた。県側は「回答する必要がなければ回答しない場合もある」と具体的な議論から逃げる姿勢が見え見えだ。「それはないでしょう」と怒る弁護士に、裁判官は「そう言ってるのですから」と擁護する。行政の不備があからさまになることを徹底して避ける自信のなさを露呈した。

 弁護団は、訴えられた2人が住宅提供打ち切り後に行政によって精神的苦痛を受けたとし、近く本人意見陳述書を提出する。

 次回は3月25日午後2時開廷と決まった。

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