2022年02月25日 1712号

【1712号主張/自宅死続出の医療崩壊/命を守るコロナ緊急対策を】

救急車にも乗れない

 新型コロナ感染は過去最多レベルの高止まりで重症者は増加を続け、死者は2万人に達した。東京都民の80人に1人17万人が陽性者(2/14)で、その95%は「自宅療養」「調整中」という放置だ。大阪はさらに深刻だ。1月27日〜2月9日の2週間で203人が死亡、死者総数3375人(2/13)と東京を上回る。

 「自宅などで1月151人死亡」(警察庁)の事態は、「自宅療養者」54万人(2/9厚生労働省)という感染者の自宅放置がつくり出した。大阪市消防局は、症状が悪化しても119番通報しないよう高齢者福祉施設あてに通知。死者の9割以上が高齢者にもかかわらず、救急車にも乗れない。保健所機能は、大阪をはじめ自宅療養者自らが体調悪化の場合に連絡する運用となり、事実上崩壊した。

 医療崩壊の影響はコロナ患者以外にも広がる。都内では心臓病患者が搬送先がないまま死亡した。

医療削減が招いた人災

 医療従事者数を海外との比較で見ると、人口千人当たり医師数はドイツ4・5人、フランス3・4人、英国3・0人に対し、日本は2・5人。1ベッド当たりの医師0・2人と英国の6分の1。同じく看護師も0・6人でG7主要国より25〜40%少ない。コロナ患者受け入れができない根本は、医療従事者が少ないことだ。自公政権、小池都政、維新大阪府市政の新自由主義政策がもたらした人災である。

 感染が一時下火になった昨秋、病床や医療従事者の抜本的拡充の必要があったにもかかわらず、岸田政権はなお地域医療構想=病床削減路線を続けた。東京都は都立病院の独立行政法人化を推進している。大阪府は第6波に備えるどころか426病床もの削減方針を続け、大阪市も保健所は1か所のみ、全くの人員不足という事態を無策のまま放置。今日の惨状を招いた。維新は自らの失政を棚に上げ、馬場伸幸幹事長は「オミクロン株は重症化しない。市販の風邪薬でも飲んで自宅で寝ていればいい」とまで言い放った。

 医療削減政策を改めさせ、市民の命を守る姿勢のない政府・自治体に直ちに転換を迫らなければならない。

カジノより命だ

 維新府市政は、医療崩壊そっちのけでIR(統合型リゾート)・カジノ誘致、万博開催に突き進む。貧困が広がり減る一方の市民の財産を巻き上げるカジノ、グローバル資本をボロ儲けさせる万博は、大阪を崩壊に導くだけだ。

 命とくらしを守るには、医療を拡充し、市民生活を支える必要がある。緊急の大規模・定期検査や隔離・保護への臨時医療施設の拡充とともに、予算の根本的組み替えが必要だ。市民の要求を束ね、岸田政権、小池都政、維新府市政に突きつけよう。

 (2月14日)
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