2022年02月25日 1712号

【MDS18の政策/第6回 教育/誰にでも教育の機会を保障(4)/教育は基本的人権だ】

 教育への公的資金投入の貧困が高学費を生み出し、労働分配率の低さによる低賃金が高学費による家計圧迫と相まって教育ローンと化した奨学金へと学生を誘導している。

 この現状が破壊しているのは、市民一人ひとりの人権だ。

 人類が発展させてきた現時点での人権概念を体現しているのが一連の国際人権法だ。国際人権規約社会権規約(1966年国連で採択、日本は79年に批准)は教育を「それ自体が人権であるとともに他の人権を実現する不可欠な手段である」とする。そして、同規約の一般的意見(解説文書)で大人か子どもかを問わずその能力を最大限発揮するための権利と位置付ける。とりわけ子どもについては「児童の人格、才能並びに精神的及び身体的な能力をその可能な最大限度まで発達させること」と、こどもの権利条約(89年採択、94年批准)本文で明示する。教育は人権であることは国際的な共通認識だ。

 その上で、社会権規約は教育に関する人権保障の手段として以下の3点を提示している。

 (1)初等教育(日本では小学校)の無償化(2)中等教育(同中学校、高等学校)の漸進的無償化(3)高等教育(同大学・短大・専門学校)の漸進的無償化

 「漸進的無償化」とは、「少しずつ無償化していくこと」だ。

教育は基本的人権

 日本国憲法第26条は「すべて国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する」とする。そして「教育の憲法」と位置づけられる教育基本法は、国民ひとりひとりの生涯にわたる学習の権利(第3条)と「人種、信条、性別、社会的身分、経済的地位又は門地によって、教育上差別されない」という教育の機会均等(第4条)を定めた。

 対象を「国民」とした限界性はあるものの、社会権規約発効からさかのぼること約30年前に、基本的人権として位置付けた。

 しかも日本国憲法第98条第2項は「日本国が締結した条約及び確立された国際法規は、これを誠実に遵守することを必要とする」と定める。日本政府は、国際人権規約もこどもの権利条約にも加入している。よって、同条約は国内法と同等の効力を有する。

 政府は、基本的人権である教育の機会均等を補償するための最低限の手段として、教育無償化を実現しなければならない。(続く)
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