2022年02月25日 1712号

【今こそ中学校給食実現を/学校給食無償化めざすつどい開く/平和と民主主義をともにつくる会・かながわ/横浜・鶴見】

 山中竹春市長の誕生により、政令指定都市で唯一行われていない中学校給食の実施に期待が高まる横浜市。2月13日鶴見区で、教育行財政研究所の中村文夫さんを講師に、中学校給食実現・学校給食無償化をめざすつどいが開かれた。平和と民主主義をともにつくる会・かながわが主催した。

 ともにつくる会の菅原美福(よしとみ)さんがつどいの趣旨を説明。昨年8月、多くの市民に支えられ発足した山中市政に問われていることは何か。カジノのような大型公共工事=ハコモノではなく、医療や福祉、介護、保育、教育といった命と暮らしを守る上で欠かせない基礎的なサービスをすべての市民に保障していくことだ。

 横浜市の中学校給食は「ハマ弁」と呼ばれる配達弁当で、喫食率は11%にすぎない(20年12月)。昨年4月からは「デリバリー型給食」と銘打たれているが、給食時間の実態は「お弁当、注文したパン、コンビニで買った昼食、デリバリー弁当とみんなバラバラ。15分で済ませる。子どもたちからは『デリバリー弁当は冷たくておいしくない』との声が」(菅原さん)。

 ともにつくる会がめざす中学校給食は、(1)温かいものは温かいうちに、冷たいものは冷たいうちに食べられる自校調理方式(2)親の経済状況に関係なく、すべての子どもに安全で栄養バランスのとれた食を提供する給食無償化。菅原さんは「多くの方がたと手を携え、きょうのつどいを横浜市での中学校給食実現、学校給食無償化に向けた大きな取り組みのスタートにしたい」と決意を語る。

おいしい給食を友と

 中村さんの講演タイトルは「生まれ変わろう 日本一おいしい学校給食を 横浜のすべての子どもたちに 安全、安心、無償」。冒頭、こう述べた。「未実施地域の子は日本全国の子と違う体験をさせられている。全国の中学生と同じ体験と思い出をもって大人になっていくことがとても必要だ」

 「義務教育の学校はなぜ身近に、歩いて行ける距離につくられているのか」と中村さんは問う。「分け隔てなく地域の子どもたちが生きていく衣食住の知恵を集団的な学習によって見つけ出す、自分たちの生活が個人ではなく地域のつながりの中で成り立っていることを学ぶため。だから無償とされてきた」。しかし、実際は給食費をはじめ教材費、修学旅行費など多くの保護者負担がある。

 「愛情家庭弁当」論は、貧富の格差を目の前で見せつける「非情弁当」論に他ならない。日本の子どもの貧困は7人に1人、神奈川県の就学援助率も全国平均並みの14・35%。ところが、中学校完全給食率は44・5%と全国(93・2%)の半分にも満たない。都道府県ごとの給食無償化自治体の比率は、最も高い山梨県の40・7%に対し神奈川県は下から8位の15・2%。神奈川県さらに横浜市の立ち遅れははなはだしい。

 中村さんは「子どもたちがおいしい給食を摂り、友と語り、人生に役立つ知識を身につける充実した学校生活を送り、笑顔で帰宅するために」として、横浜市政に(1)全員対象の学校給食実施(2)デリバリー給食からの転換(3)有機食材利用の地産地消など給食の質にこだわる(4)公会計制度の導入(5)無償化に向けた財政措置―の5点を提案した。

 つどいには、「横浜でも全員制の中学校給食が『いいね!』の会」のメンバーがゲスト参加。「昨年4〜8月、1569人から市民アンケートを集めた。『全員制』希望は87・6%、『自校方式』希望は91・6%を占めた。この声を横浜市や市教育委員会、市議会に届けていく」と話した。

市民相談会の開催へ

 後半では、「一律の給食って日本的。アメリカなどはカフェテリア方式で、自分の判断で食べ物を選ぶ。教員からは『無理、無理。今の状況では成立しない』と否定されたが」「教員は給食反対の人が多い。理由は『中学生には無理。生徒指導が困難。ごちゃごちゃになる』。部活を熱心にやる教員ほどそういう発想。朝7時から夜6時半まで子どもが学校に拘束されている姿が正常なのか、考えないといけない」「横浜生まれ、横浜育ちで中学校給食の存在すら知らなかった。必死で毎朝5時半に起きて息子と娘と私3人分の弁当を作っている。これが給食という形で提供されたらすごく楽になる家庭はたくさんあると思う」など率直な意見交換が続いた。

 ともにつくる会では今後、中学校給食実現に向けた市民相談会(仮称)や共同宣伝イベントを計画している。

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