2022年02月25日 1712号

【みるよむ(609)2022年2月12日配信 イラク平和テレビ局in Japan 汚職と腐敗にまみれた イラク・バスラの石油輸出港】

 世界有数の産油国イラクの石油の多くは南部バスラ州から輸出される。その港湾を舞台に、イスラム政治勢力とグローバル資本は汚職で石油などの利権をむさぼっている。2021年11月、サナテレビはこの問題を取り上げた。

 南部のバスラ州は汚職と腐敗のひどさで悪名高い。

 イラク港湾会社は1万2千人の熟練した常勤港湾労働者の雇用をストップした。「港の運営の委託料を非常に安くした分で私腹を肥やすため」という。安い委託料で請け負ったラフィフ社は「海運運航の経験も専門技術も全くない」。タグボートは傷みがひどくて使いものにならない。

 ある国会議員は「イラクの国家は職員の汚職が原因で4500万ドル(約52億円)を失った」と告発した。サナテレビのレポーターは「イラクの港湾はあらゆる面で汚職によって荒廃しています」と批判する。

 では、利権は誰のものになるのか? サナテレビは港ごとに詳細に列挙する。

宗派・部族・外国企業

 コール・アル・ズバイル港は、宗派私兵と部族勢力が支配している。ウム・カスル港の南港は、フランスをはじめ外国の関連企業、シーア派勢力の支配下にあり、北港も宗派私兵やフィリピンの輸送会社が握っている。アム・フロス港やアム・マカル港は、部族政党が支配者だ。ファウ港は、政府中枢の権力を握るサドル運動が管理し、その影響下で韓国のデウ社が9千万ドル(約103億円)の賄賂と引き換えに港湾建設受注に成功したという。

 汚職と腐敗にまみれた港湾と石油の利権には、欧米、中国、日本、韓国などグローバル資本が結びついている。日本はODA(政府開発援助)などによって利権構造を支えている。汚職と腐敗に反対するイラク市民、石油労働者に日本からも連帯していこう。

(イラク平和テレビ局in Japan代表・森文洋)

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