2022年03月04日 1713号

【維新と闘う「君が代」調教NO!松田さん処分取消裁判 国際法で判決めざす 卒業式行動と一体で】

 大阪市立中野中学校教員だった松田幹雄さんは、2015年3月卒業式での「君が代」不起立不斉唱を理由とした戒告処分の取り消しを求め2020年12月大阪地裁に提訴。歴史も意味も全く伝えないままの生徒への「君が代」斉唱強要は、子どもの権利条約にも違反する調教≠セとその不当性を主張する。松田さんから報告が寄せられた。

ついに自由権規約に言及

 1月12日と2月10日、「君が代」調教NO!処分取消裁判の支援団体D―Tacは、大阪地裁前で朝ビラ600枚近くを配布しました。ビラは「『君が代』裁判で大阪市がトンデモ主張 『国際人権規約は裁判に関係ない』? 国連に注目されているのに… 恥ずかしいぞ!大阪市」というもの。裁判官や職員に国際人権自由権規約は無視できないと訴える行動でした。

 2月14日の第6回口頭弁論に大阪市から提出された被告第4準備書面の冒頭は「自由権規約に関する原告の求釈明に回答する必要性は全くないものと思料するが、念のため以下の通り補足する」でした。大阪市は、前回弁論で「憲法に違反するかどうかだけを判断すれば足り、自由権規約に対する判断は必要ない」と主張したものの、それが受け入れられなかったことに不満表明しながらも、自由権規約をめぐる論議にのらざるを得なくなったのです。

子どもの権利条約に違反

 こちらからは、私の「君が代」不起立は国際人権規約に照らして判断されるべき、また、この処分は子どもの権利条約にも違反することを主張。準備書面では、子どもの権利条約の歴史、子どもの権利委員会、同条約の国内法に対する影響について述べた上で、条約違反として問題になることを明らかにしました。

 一部を引用します。

 「原告は、子どもたちが『君が代』の歌詞の意味も歴史も教えられていない現実を踏まえ、それらの情報を伝え、どう考えるかは生徒自身の判断に任せることが必要であり、『君が代』を歌えないという人間がいることを知ることもその内容に含まれると考え、主張・行動した」と私の不起立の意味をあとづけます。

 その上で「被告は、国旗国歌条例を根拠にして一方的観念を刷り込むための教育長通知を発出するとともに、原告が指導内容について質問したことにまったく回答せず、原告作成の『日の丸』『君が代』の扱いの変遷を伝える教材(学年全体として生徒に配布)への見解を明らかにしなかったばかりか、処分の翌年には、『全体のトーンが学習指導要領の趣旨に反している』としてこの教材の使用を禁じた。これは、子どもの『最善の利益』を考慮して実施しようとした教育内容、教員の行動を妨げたものであり、学校の教育課程編成権の侵害であるとともに、子どもの権利条約第12条(意見表明権)、13条(表現の自由)、14条(思想、良心、宗教の自由)、28条(人間の尊厳に適合した規律)、29条(国際平和と差別の撤廃)に違反する」。

 被告大阪市は、他の多くの裁判も含め、これまで子どもの権利条約にかかわる主張には無視を決め込んでいましたが、無視できない状況をつくり出しました。国際人権規約・子どもの権利条約をぜひ判決文に書き込ませたいと思います。

卒業おめでとうビラ行動

 2月24日からは高校の卒業式が始まります。「君が代」不起立者のグループZAZAと「日の丸・君が代」強制反対大阪ネットは、今年も、「卒業おめでとう」と共に「日の丸」「君が代」の歴史や私たちに保障されている権利を伝えるビラを配布します。

 「日の丸・君が代」強制条例を機に進められてきた競争と管理の教育―維新支配を打ち破る闘いと位置づけて、協力を呼びかけていきたいと思います。

(教職員なかまユニオン・松田幹雄〈元大阪市中学校教員〉)



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