2022年03月04日 1713号

【みるよむ(610) 2022年2月19日配信 イラク平和テレビ局in Japan イラクの農地の減少と環境破壊】

 イラクでは無計画な宅地開発などによって広大な農地が消え続けている。地域の砂漠化と温暖化が進み、環境破壊は深刻だ。2021年11月、サナテレビはこの問題を追い報道した。

 イラクは、古代から中東の農業国として栄えてきた。ところが今、緑の空間が急激に減少している。1956年に1110万エーカー(4492万km2)だった農地が、2018年には627万エーカー(2537万km2)へと、45%も減少した。

 これほどイラクの農地が減ってしまったのは、とりわけ2003年の占領以後のことだ。バグダッドをはじめ「都市ででたらめな建設を行い、きちんとした計画に従わなかったからだ」という。都市部に人口が集中する中、農地から転換した宅地を買う人が多いことから、土地を売り飛ばして儲けたのだ。

 農地がビルに変えられ、首都の環境汚染が進み、かつてないほどに気温を上昇させた。日本でも、大都市部で緑地が失われコンクリートだらけになったことでヒートアイランド現象が起こり、異常な気温上昇となって久しい。バグダッドなどイラクの都市部では、最高気温が50度を超える。気温上昇の被害は日本どころではなく強烈だ。

農業破壊を放置する政府

 農地の破壊を規制する法律を適用しようとした地元の行政当局者が爆弾で暗殺される事件まで起こっている。腐敗した中央政府省庁と結託した利権を持つ連中の仕業だ。

 サナテレビは、バグダッドや南部バスラで「緑地はコンクリートブロックに変わった」という環境破壊の惨状を映し出す。元のように回復させるには、160億本もの木を植えなければならない。

 イラク政府は、大資本の利益のために農業破壊を放置している。自然環境の破壊を許さないと声を上げるイラク市民に連帯したい。

(イラク平和テレビ局in Japan代表・森文洋)

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