2022年03月11日 1714号

【みるよむ(611)2022年2月26日配信 イラク平和テレビ局in Japan 汚職にまみれたイラクの対中国石油契約】

 イラクの石油資源を世界中のグローバル資本が狙っている。2021年11月、サナテレビは、中国の政府と大企業が莫大な汚職を伴いながらイラクの石油資源獲得に動いている実態を報道した。

 レポーターは、番組冒頭「中国企業は腐敗しており、イラク政府高官に賄賂を支払う」と説明する。続く映像は、バスラ州で中国企業が12年かけて建設している病院だ。この建物は骨組みしかできていない。

 石油産業では、中国企業が汚職やわいろ、脱税の大きな部分を占めている状態だという。国会議員は「公共清潔委員会がアル・アフダブ油田の中国企業CNBC社の脱税について調査を行っている」と述べる。政府はこの脱税企業に1億8千万ドル(約207億円)の資金を貸し付けている。

 イラクの国内法は、外国企業との提携ではイラク人労働者を50%以上雇用する義務を定めるが、進出した中国企業は守っていない。ペトロ・チャイナ社に至っては、中国政府が刑務所から送り込んだ服役者を賃金を払わずに働かせている。

 中国とイラク政府は5千億ドル(約57兆5千億円)の投資借款協定を結んだ。2003年占領以後のすべてのインフラ投資額を上回る金額だ。

イラン系宗派勢力が結託

 サナテレビは、「中国はイランの最大の盟友」であり、イラン系のイスラム主義政党が中国の経済進出に協力していることを説明する。イランが影響力を強めるイラクは、中国、ロシア、イランによる経済権益獲得、そして政治的軍事的連携と対立の一つの焦点なのだ。

 石油利権を獲得するためにイラクの政府、政治家、イスラム政治勢力と結託していることは、中国も欧米、日本も同じだ。腐敗政権とグローバル資本の支配に抗し、生活と安全のために闘うイラク市民、石油労働者との連帯が必要だ。

(イラク平和テレビ局in Japan代表・森文洋)

MDSホームページに戻る   週刊MDSトップに戻る
Copyright Weekly MDS