2022年03月18日 1715号

【なかまユニオンが春闘集会 「同一労働同一賃金」原則で 非正規労働者の賃上げを】

 なかまユニオンは2月26日、2022年春闘集会を開催し、非正規労働者の賃上げを推進する方針を提起した。その内容を紹介する。

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 昨年11月、岸田政権は福祉・介護職員処遇改善臨時特例交付金を決定した。それは、金額(月額9000円相当)においても、支給期間(2月から9月)においても、きわめて貧弱なものではあるが、該当職場では交付金について知らない労働者も多い。経営側も申請しない例が少なくない。

 なかまユニオン組合員の職場では、継続的なパート労働者の待遇改善要求を行う中で、交付金を申請させ、正規労働者の賃上げ額を上回るパート労働者の賃上げ回答を引き出している例も出ている。

 経営分析活動を強め、要求に確信をもって施設経営側に賃上げ要求を出していくことが重要だ。

待遇差禁止を使う

 2021年4月から中小企業も「パートタイム・有期雇用労働法」(正式名称は「短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律」)の対象になった。

 われわれが着目すべきは、この法律が、正社員(無期雇用フルタイム労働者)と非正規社員(有期雇用パートタイム労働者)の待遇差の解消を定めたこと、「同一労働同一賃金」原則を適用することにある。

 同法は、(1)職務内容(2)職務内容・配置の変更の範囲―が同じ場合は、差別的取扱いを禁止している。また、(1)職務内容(2)職務内容・配置の変更の範囲(3)その他の事情の内容―を考慮して不合理な待遇差を設けることも禁止だ。職務内容は、業務の内容に「責任の程度」が勘案される。「責任の程度」が待遇差の口実にされないように、労働者側も業務分析活動を強化し、経営側の分析に対向していくことが求められている。

 パートタイム(有期雇用)労働者から「同じ仕事をしているのに、なぜ正社員と待遇が違うのですか」と、待遇差について説明を求められた場合に、事業主はその待遇差について説明することが義務化されている。説明を求めて来た労働者に対して「そんなことを聞いてくるなら辞めていいですよ」「解雇しますよ」などと言う等の、不利益な取扱いを行うことも同法で禁じられている。パートタイム・有期雇用労働者の賃金を是正していく好機だ。

職種での同一賃金へ

 派遣労働者についても、同一労働同一賃金原則を活かすことが可能だ。

 現行派遣法の下での派遣労働者の賃金決定方式には、派遣先企業の正規労働者との均等・均衡を図る方式と、派遣元会社と派遣労働者が労使協定を結ぶ方式がある。厚生労働省の調査では、9割を超える派遣会社が賃金をより低く抑えようと労使協定方式を選択していた。

 では、労使協定方式で賃金はどのように決定されるのか。厚労省は、毎年8月「同種の業務に従事する一般の労働者の平均的な賃金の額」を公表し、これが次年度の派遣労働者の賃金決定の根拠額となる。「一般の労働者」とは、無期雇用かつフルタイムの労働者のこと。実際使われている賃金表の多くは全国の職業安定所の求人賃金を基準値としたもので、下回ってはならない額が示される。表はある派遣会社の介護職種の例だが、厚労省が示した金額を下回る協定は無効となる。いわば、派遣労働者の最低賃金表ともいえる。



 この賃金表は、職種ごとの賃金水準を示したことにより、企業横断的な同一労働同一賃金を推進していく一歩となりうるものだ。

 派遣労働者と派遣先企業の正規労働者、パートタイム・有期雇用労働者の均等待遇、同一労働同一賃金を実現するには、雇用形態にかかわらず、この賃金表以上の賃金が支給される必要がある。例えば、介護施設で、派遣労働者の時給は1200円、一方、パート労働者は1050円というところも多く、こうした事例を是正する闘いにも活用できる。すべての労働者の待遇改善要求の根拠となりうるものである。

 パート・有期雇用労働法や厚労省賃金表も使って均等待遇を求め、非正規労働者の賃上げを進めよう。

(なかまユニオン執行委員・田中充郎)

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