2022年03月25日 1716号

【1716号主張 直ちに停戦 ロシアは撤退せよ 軍隊も軍事同盟もいらない】

即時停戦・外交交渉を

 ロシア軍のウクライナ侵攻で市民の犠牲が拡大している。国連発表でウクライナ民間人死者は千人を超え、避難民は国外250万人、国内200万人に及ぶ。

 ロシア軍は撤退し、ウクライナ政府も市民への武装闘争の呼びかけをやめなければならない。今必要なのは、人命救済を最優先にすえた即時停戦と外交交渉による解決をおいて他にない。各国・国際機関も外交的解決を後押しすべきであり、戦争をエスカレートさせる軍事援助や世界の民衆の生活を一層困難にする経済制裁は停止すべきだ。

 ロシアの軍事侵攻はいかなる名目でも許されないが、ウクライナへの軍事支援も常軌を逸している。侵攻以降、米国は5・5億ドル(約650億円)、EUは9・5億ユーロ(約1240億円)もの軍事援助を行うとし、ドイツからスウェーデンまで続々とミサイルなど武器供与を表明した。停戦を遠ざけ、軍需産業に利益をもたらすだけの愚策を止めなければならない。

日本の軍事援助許すな

 日本の岸田政権も軍事援助に踏み出した。自衛隊の防弾チョッキやヘルメットをウクライナに提供するため、航空自衛隊機でポーランドに空輸。政府自ら定めた防衛装備移転=武器輸出3原則が「紛争当事国」への武器輸出を禁じているにもかかわらず、日本政府は「ウクライナは紛争当事国ではない」というでたらめな解釈で強行した。

 今回の軍事援助はさらなる軍拡への布石だ。好戦勢力は「次は台湾有事」と中国敵視をあおり敵基地攻撃能力保有や改憲をもくろむ。岸田政権は昨年末、中国や朝鮮への攻撃が可能な射程千キロの巡航ミサイル開発を表明し、敵基地攻撃能力保有へと動き出している。この機に乗じて軍拡を加速することは許されない。

市民の連帯で戦争止める

 ロシアのウクライナ侵攻の背景には、米国を中心とするNATO(北大西洋条約機構)の東方拡大がある。軍拡競争と緊張激化政策が戦争を導いている。敵対していたワルシャワ条約機構が旧ソ連とともに30年前に解体した以上、NATOも同じく解体すべきだ。

 東アジアでも、日本政府が沖縄・南西諸島の軍事要塞化を進め中国を挑発し続ければ、戦争に発展しかねない。真っ先に標的になり犠牲となるのは、沖縄の住民だ。軍隊も軍事同盟も市民の命は守らない。核兵器禁止条約批准、日米安保条約解消、自衛隊縮小・廃止、朝鮮戦争の終結と国連軍撤去によって憲法9条を実体化し、世界に広げることこそが求められる。

 戦争を止めるのは市民・労働者の国際連帯だ。ロシア・世界の民衆の運動を強め、一刻も早い停戦を実現し、自国の戦争路線と闘って東アジアと世界の平和を構築しよう。

 (3月13日)
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