2022年03月25日 1716号

【明日をつくるなかまユニオン<第5回>/学校現場の不当なパワハラを止めさせ教育再生を/「減給処分取り消し」大阪市人事委員会闘争で反撃】

 維新の会―大阪府・市政による公教育介入と教職員管理統制は、「君が代・日の丸」強制にとどまらず、教職員の日々の教育活動に支配と分断を持ち込んだ。その結果、校長らによるパワーハラスメントも横行している。このパワハラや不当処分に対し、ユニオンへの相談から声を上げ闘いを始める例も増えた。処分取り消しを求め人事委員会に訴えた取り組みについて、教職員なかまユニオンから報告を寄せてもらった。

 なかまユニオン学校教職員支部(教職員なかまユニオン)は今、「君が代」再任用拒否 国家賠償裁判で大阪高裁勝利判決を手にした梅原聡組合員の最高裁上告をはじめ4つの裁判と、1件の大阪市人事委員会「減給処分取り消し請求」事件に取り組んでいます。

過去にさかのぼって処分報告

 大阪市立中学校教員のAさんは処分嫌疑に対する労働相談で教職員なかまユニオンとつながりました。

 Aさんは2019年7月、大阪市教育委員会から減給の懲戒処分を受けて以降数年間、弁護士なしで人事委員会に請求し、処分取り消しを求めてきました。処分事由説明書」は3つの「服務規律違反」を並べています。すべて教育活動に関する問題にもかかわらず、教育委員会が無理に3つ合わせて「服務規律違反→懲戒処分」を強行したものです。

結論ありきの処分強行

 懲戒処分の手続きは、校長がまず事情聴取をして「事故報告書」(事実経過報告)を教育委員会に出します。一般に1件につき1通ですが、Aさんの場合は短期間に4通の「事故報告書」が追加提出されました。

 最初の内容は、ある女子生徒の訴えに関するものでしたが、最後の2通は1年前にあった男子生徒の訴えに関するものに変わっていました。そして結果的には、女子生徒の訴えは教育委員会が立証できず、処分理由にはなりませんでした。

 女子生徒の保護者が、校長や教育委員会だけでなく、市会議員にも「Aさんの処分」を訴えていたことを、校長がAさんに話していました。処分を発令するという結論ありき≠セった教育委員会が、無理矢理1年前の男子生徒の問題を掘り起こして、処分強行の理由に使ったと考えられます。

 そのため、本年2月18日付で校長が人事委員会に提出した「陳述書」は、虚偽事実の「証言」があふれています。

組合の力で教育再生を

 さまざまな困難を持つ子どもたちの問題を、現場でかかわる多くの教職員が集団として対処方針を論議し共有することが、本来の学校教育の柱です。

 しかし、維新による公教育介入が続く大阪市では、子どもは「学力テスト」で、教職員は給与格差をつける「人事考課(ランク付け)」で、バラバラにされています。そうした状況で、保護者からの訴えがあった場合、教育委員会と多くの校長は、残念ながらその訴えに対しとにかく「処分して蓋をする」というパワハラ対応に走っています。

 これに抗して不当処分を撤回させ教職員の権利を守る労働組合活動は、教職員による集団での教育活動を再建していくことにもつながっています。

 3月11日の証人尋問では、組合員3人が「代理人」となって支援しました。人事委員会は裁判と同じく公開で審理が行われます。次回(請求人本人尋問)は5月下旬(大阪市役所4階人事委員会室)。みなさんの傍聴支援をお願いします。

(教職員なかまユニオン・笠松正俊)





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