2022年03月25日 1716号

【みるよむ(613)2022年3月12日配信 イラク平和テレビ局in Japan 血塗られたマフディ 市民のデモが政権を倒した】

 2018年10月から2020年5月までイラクの首相に就いていたアデル・アブドゥル・マフディは、失業や社会サービス崩壊に苦しむ市民のデモに残忍な弾圧を加えた。2022年1月、サナテレビはマフディ政権の実態を改めて明らかにした。

 マフディ辞任を聞いて、バグダッド中心部にあるタハリール広場に集まったデモの大群衆が歓声を上げる。人びとは「バグダッドは自由だ」と叫んだ。

 マフディ政権は、シーア派イスラム政治勢力とその背後のイランとも結びつき、欧米、日本、中国のグローバル資本に石油利権などを提供し続けた。マフディの「宗派の私兵と対決する」という「約束」は市民に笑い飛ばされた。

 なぜか? サナテレビはマフディの悪行を次々と示していく。

 マフディ政権は、市民の医療や教育、福祉などの社会サービスを切り捨て、若者の大量失業を放置した。抗議し人間らしい暮らしを要求する市民のデモを容赦なく弾圧した。バグダッドのシナック橋では、宗派の私兵がデモ参加者を25人も殺害し、多数の活動家を誘拐した。マフディ政権はこの犯罪を容認した。ナシリヤでは、軍司令官がデモ参加の市民を殺害した。

 マフディは、イラクの国家財政も私物化していた。彼が辞任した直後、「国庫は空っぽ」だった。また、利権をむさぼる中国企業と癒着していた。

弾圧・殺害 はねのける

 市民の批判にマフディは血の弾圧で応えた。マフディ政権は、900人以上の抗議デモ参加の若者を殺害し、2万5千人を負傷させた。弾圧の後遺症を負う人は5千人もいる。

 デモは「マフディを公正で公平な司法と国際法廷で裁き、責任を取らせることを要求する」と訴える。マフディ首相を辞任に追い込んだのは市民のデモの力だ。日本からも連帯していこう。

(イラク平和テレビ局in Japan代表・森文洋)

MDSホームページに戻る   週刊MDSトップに戻る
Copyright Weekly MDS