2022年03月25日 1716号

【一日行動で原発賠償京都訴訟控訴審 「同じ経験はさせない」と訴え】

 3月11日、原発賠償京都訴訟の控訴審第13回口頭弁論が行なわれた。原発事故から11年のこの日は、京都訴訟団が全一日の取り組み。

 午前は、大阪高裁に近い中之島図書館で「避難当時未成年だった原告・避難者のお話し会」が開催された。避難時に10代だった2人の話し手は、ともに自分たちと同じ経験をする子どもたちが出てほしくないことを訴え、「自らの体験を伝えていきたい」と語る。10年間の成長と息吹が参加者に伝わる会となった。

 原告と支援者約10人が開廷前、公正判決署名第2次分、団体署名29団体と個人署名3579筆を提出した。

 午後の法廷では、北茨城市から避難した女性が意見陳述。内容は、昨年1月に東電が行なった弁論への反論が中心だ。まるで「北茨城市には汚染などない」と言わんばかりの東電の主張に対し、具体的数字を突きつけた。また、「国による住宅支援打ち切りは子ども被災者支援法や『国内避難に関する指導原則』に反する。いまウクライナの原発への砲撃が注目されているが、世界一の出力を持つ原発は東電の柏崎刈羽原発であり、その事故処理に予算がかさみ福島第一での津波対策が先送りされた」など、整然と陳述した。

 改めて記者会見も行われ、訴訟への意見書や原告インタビューをまとめた『原発事故避難者はどう生きてきたか』を出版した竹沢尚一郎・国立民族学博物館名誉教授が、避難者のPTSD(心的外傷後ストレス障害)傾向は高く、その背景に社会的孤立(支援のなさ)があることを報告した。

 次回期日は6月8日(水)14時30分、大阪高裁。原告の意見陳述がある。

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