2022年04月01日 1717号

【ミリタリーウオッチング 道理なきウクライナ侵攻 あらゆる戦争の論理にNO】

 2月24日、ロシアの大統領プーチンはウクライナへの全面的な侵攻を開始した。これに先立ち米国は約3千人近くの部隊を東欧に派遣すると発表。米国はすでに1月約8500人の部隊に派遣待機を命じ、大半がNATO(北大西洋条約機構)即応部隊が発動する際に加わることも計画していた。

 2月25日、国連安全保障理事会によるロシア非難決議案はロシア自身による拒否権で否決された。中国は棄権に回った。ロシアも含め、地球上の多くの国々の多くの人々から「NO WAR」の声があがった。日本もそうだった。

 ただ、その際に何かひっかかるものがなかったか。自分たちの国の政府がウクライナの人びとに「防弾チョッキ」をおくる…。これではまるで戦争を煽っているとしか思えない。「ロシアのプーチンは悪玉」「ウクライナのゼレンスキーは善玉」という思いこみが人びとに蔓延していく。

 プーチンは全く間違っている。私たちは決して認めない。ではゼレンスキーは。彼はウクライナの人びとに武器を与え、「徹底抗戦」を呼び掛けている。東京外大教授の伊勢崎賢治さんは、非政府組織で民兵の武装解除の指揮を取ってきた。ゼレンスキーが市民をロシア軍に向かわせることを、「これは一番やってはいけないこと」と断言する。

 伊勢崎さんは、ロシアによるウクライナ侵攻について、国連憲章51条「集団的自衛権」の問題を指摘する。

これが集団的自衛権?!

 今回の侵攻はいうまでもなく「武力による威嚇」から「武力の行使」という明らかな国連憲章違反だ。ところが、ロシアは、ウクライナから「独立」したとする東部2州(国)の要請に応えた憲章51条「集団的自衛権行使」と主張する。「独立」も「要請」も侵攻の口実づくりは明らかで、認めるものはいない。

 この「集団的自衛権」は、米国・NATOのアフガニスタン侵略を正当化し、ベトナム戦争の口実にも使われた代物。戦争と武力行使を禁じた国連憲章の中にあること自体おかしい。伊勢崎さんはそのことを指摘しつつ、戦争をなくすために、あらゆる軍事支援や介入を禁止する協定でスタートし批准国を増やしていく、という道も示している。

 同時に、ウクライナ侵攻を機に、軍事支援に踏み出し、敵基地攻撃や集団自衛権の本格的な行使へとうごめく日本の好戦勢力を封じ込めることが緊急に必要だ。

 藤田なぎ
 平和と生活をむすぶ会

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