2022年04月08日 1718号

【維新大阪府市政にノー カジノ、巨大開発推進と社会保障切り捨ては一体】

 2017年衆院選に日本維新の会公認で立候補した長谷川豊は「自業自得の人工透析患者なんて、全員実費負担にさせよ! 無理だと泣くならそのまま殺せ! 今のシステムは日本を滅ぼすだけだ!!」(本人ブログ)と書き、公的医療保険制度の全否定と自己責任論の徹底を露骨に表現した。

 維新は、浪費や依存を防ぐというもっともらしい理由で生活保護受給者のパチンコやギャンブルを禁止する法案を16年に提出している。生活費の使い道を法律で規制する暴挙であり、さすがに成立しなかった。

 この法案の前にカジノを含むIR(統合型リゾート)法が成立している。維新がパチンコ・ギャンブル禁止をあえて強調した背景に、ギャンブル依存対策について「やってる感」を隠れ蓑にカジノを推進したいとの思惑が見え隠れする。

 このように維新は、弱者と社会保障に対する攻撃を行ってきた。大阪では攻撃が住民サービスにも向けられ、各種サービスが切り捨てられている。

住民サービス削りカジノ

 維新の大阪府市政では住民サービス縮小と解体が執拗に行われている。橋下徹は08年以降、大阪府知事と大阪市長の時に施設を次々と廃止。さらに、「文化は行政が育てるものではない」と曲論を押し付け、オーケストラや文楽など文化芸術の補助金を削減している。

 この手法は20年の「大阪都構想」にも引き継がれた。「都構想」の財政シミュレーションには、市民プール24を9、スポーツセンター24を18、老人福祉センター26を18、子育てプラザ24を18に削減することが盛り込まれていた。維新は協定書に住民サービス維持を書き込んだと強弁していたが、維持されるのは特別区へ移行する25年までにすぎずその後は努力義務とされた。つまり、将来に削減することを準備していたのだ。

 二度目の「都構想」も住民投票で否決され、施設の縮小・廃止強行はできなくなった。大阪市は、20年4月に「市政改革プラン3・0」を策定。新たな攻撃を明らかにした。その基本方針では、「税収の大きな増が見込めない一方で、扶助費など社会保障関連経費の増加などが見込まれている」とする一方で、「万博関連事業など未来への投資が必要」としている。

 ここから、社会保障関連経費をむだな費用とし、万博などイベントや大規模公共事業への投資に力点を置いていることが読み取れる。

 このプランにおいては、民営化と官民連携による社会保障制度の縮小と解体を強調している。

 具体的には、保育所と幼稚園の民営化、水道事業などにPPP(公共サービス提供の官民連携)/PFI(公共サービス提供の民設民営化)手法の検討・導入の促進が掲げられている。プランの財政シミュレーションで示された施設廃止で生み出せる額は約17億円でしかない。「削減効果」を大きくするために今後は民営化や民間委託をさらに強めていくだろう。

公共事業より福祉が優位

 産業連関表(1年間の財・サービスの産業間取り引き及び産業と家計等との取り引きをまとめた表)を使って、各分野に同じ額を投下した場合に生産・GDP・雇用にどのような経済効果もたらすかの試算がある(有働正治『住民と自治』21年1月号)。大阪府では表の結果が出ている。

 これによれば、医療、保健衛生、社会保険・社会福祉、介護の4分野、いわゆる社会保障が公共事業よりも優位にある。生産では差がほぼないものの、GDPと雇用では4分野が公共事業を明らかに上回っている。雇用では、介護が公共事業より2倍の経済効果をもたらすのだ。

 総じて社会保障の経済効果は公共事業より高い。社会生活維持に不可欠なインフラ整備(必要な公共事業)はともかく、財政を、万博やIRというむだな建設事業ではなく社会保障の充実のために優先して投入することは経済効果の面からもはるかにプラスとなる。

 IR・カジノ、大規模開発ではなく社会保障に税金を使え、と求めよう。



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