2022年04月15日 1719号

【コロナ死者・死亡率ワーストでもカジノ・大規模開発に暴走 維新大阪府市政にノー】

 大阪府のコロナ死者は、累計も人口当たりも全国最悪だ。しかし維新府市政は、コロナ対策の抜本的拡充には背を向け、市民の命よりもカジノ・IR(統合型リゾート)、大規模開発に邁進する。これ以上維新に府市政を任せてはならない。

医療・公衆衛生の削減

 4620人と522人。これは大阪府のコロナによる死者の累計と人口100万人当たりの人数(3/29)。累計では全国の6分の1を占め、100万人当たりでは東京都の1・8倍で、いずれも全国最多だ。維新の大阪府市政で、医療と公衆衛生が軽視され半減させられた結果であり人災である。

 維新府市政は、市立病院を実質民営(独立行政法人)化し、小児科・周産期医療の中核病院だった住吉市民病院を廃止。府立医療機関を統合し、病院施設も人員も大幅に削減した。2007年の大阪府の公立病院には医者と看護師は8785人いたが、19年には半分以下の4360人に。保健所の統合も進め、07年には748人いた大阪府の保健所職員は、21年には413人となった。病床数削減も進め、18年には10万人あたりの総病床数は1197床で全国平均の1212・1床を下回り、感染症病床も10万人あたり0・9床で、全国平均(1・5床)を大幅に下回った。

 府立公衆衛生研究所と市立環境科学研究所の統合と民営(独立行政法人)化による人員の削減は、PCR検査が十分できない事態をもたらした。


「やってる感」宣伝だけ

 コロナ感染症の発生以降の対応でも、こうした軽視姿勢は変わっていない。

 20年4月に松井大阪市長は十三(じゅうそう)市民病院を突然「コロナ専門病院」に指定して一般診療を制限し、同年12月には「コロナ患者を受け入れたら1000万円」と場当たり的対処。吉村知事は「病床確保に応じない病院の公表検討」(20年2月)と民間病院をやり玉にあげたかと思えば、第4波の目前に重症病床を3割削減を指示(21年3月)など支離滅裂な対応となっている。

 その他、松井の「雨ガッパ提供呼びかけ」や吉村の「イソジンでコロナに打ち勝つ」「大阪ワクチン実用化表明」(ワクチン開発はすでに撤退)会見、アルバイトを使った飲食店「見回り隊」など、「やってる感」とパフォーマンスだけだ。

 極めつきは、第3波に備えるべき20年10月、「都構想」住民投票を強行し、コロナ対策本部会議を一度も開かず、「個々の意識や努力」にゆだねる対策を取ったことだ。今また感染者4千人以上と高止まりし第7波必至という3月末に、吉村・松井そろってドバイ外遊で万博宣伝ざんまいだ。

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責任放棄の自宅放置

 今年1月、松井は「現状でやっていく」と保健所体制の拡充を否定し、対応できなくなるや2月には「一人ひとりが感染対策を講じるしかない」と公的責任を放棄。保健所のファーストタッチ(連絡)を40歳以下の重症化リスクの低い人は除外する運用に変えた。吉村も保健所の健康観察を実施せず、自宅療養者からの連絡にまかせた上、2月には「医療非常事態宣言」を出し、「呼吸困難、肺炎所見」がある状態で国基準では入院の対象になる患者も入院させない方針とした。これで早期入院・治療ができなくなり、さらなる重症化を引き起こしたのだ。

 維新は、医療や公衆衛生分野を削減してきたことを反省しないばかりか、拡充は一切せず、検査しない、受診させない、入院させさせないの3ない政策≠全国の先頭を切って行っている。維新のコロナ対策は、公的責任を全く放棄し市民個人に責任を押し付けることで、感染者を自宅や高齢者施設に放置し、重症者、死者を増やすものだ。

 一方で、維新は税金をつぎ込んで賭博場を大阪につくるため、大多数の市民の反対の声を無視してカジノ・IR誘致に突っ走っている。資本のもうけのために府市政を私物化する維新の支配を打ち破り、カジノではなく自治体本来の役割であるコロナ対策に政策を転換させなければならない。 
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