2022年04月15日 1719号

【「フードパントリーつくの」始動 〜地域の居場所を目指して〜 チームやどりぎ 代表 藤川祥子】

 コロナ禍による生活破壊の進行で、食料支援の必要な人などに食を提供するフードパントリー事業の意義は高まっている。3月、横浜市鶴見区佃野町(つくのちょう)でスタートした取り組みについて、運営する「チームやどりぎ」代表の藤川祥子さんから報告が寄せられた。

 2022年3月19日(土)、私たち「チームやどりぎ」は、「フードパントリー(食品無料配布会)つくの」を開催しました。20組のお申し込みがあり、19組に食品をつなぎました。今後、毎月第3土曜日に開催する予定です。

困っている人はいる

 活動の始まりは昨年の秋、地域で食のセーフティーネットを作ろうと集まったミーティングでした。最初は正直、私の中には「食品をつなぐ相手が具体的に見えていない中で実現できるのだろうか」という戸惑いがありましたが、「今、見えていないだけで、地域で困っている人は必ずいる。そのような人が安心して来られる居場所が必要」と話し合い、活動がスタートしました。

 年明けにオンラインの「チームやどりぎ設立総会」を開催した後は、大家さんへのご挨拶、食品を提供してくれる「公益社団法人フードバンクかながわ」との連携、郵便局に口座開設を断られるもメガバンクで無事開設、ボランティアの声かけ、看板づくり、ネット申込サイト開設、チラシまき、区役所や福祉施設への告知等々を進め、メンバーそれぞれの実行力が遺憾なく発揮されました。

 地元「タウンニュース」への掲載は大きな励みでした。実績が無いにもかかわらず「良い取り組みなので」と記者さんが来て下さり1面に写真付きで紹介。大きな反響となりました。

 予定配布数を20組としていたものの、5組も申込みがあれば大きな成果だと考えていました。ところがフタを開ければ予定数ぴったり。新しい団体に信頼を寄せて頂けたことに感謝するとともに、地域のニーズが高いことを再認識しました。

 準備には、前日・当日とのべ15名のボランティアが参加してくれました。食品を分類し、1組あたり買い物カゴ約1杯分をセット、残りを自由に選べるコーナーに設置しました。「千住フードパントリー」の活動から、「自分で選べることの大切さ」を教わりました。

お互い寄り添う必要

 事前登録制ですが、どのような方が来られるのか当日まで分からず、トラブルもあるのでは…と考えていましたが全くの杞憂(きゆう)でした。若い男性、女性、外国籍の方、お子さん連れ、ヘルプマークを付けた方など、様々な方が訪れ、次回分も予約して帰られました。

 開催途中、近所のお寺の前住職からお菓子の寄付を頂きました。檀家さんからたくさん頂くものの、コロナ禍で会食する機会が減り、賞味期限を迎えてしまいそうなので、とのこと。大変嬉しい出会いとなりました。

 「フードパントリー」は、地域で困っている人を市民の力で解決しようとする活動です。そもそもの問題を引き起こしている政府や行政、企業の活動を正すことも必要ですが、一方で地域の人々がお互いに寄り添う居場所も必要です。

 始まったばかりですが、利用者さんの困りごとの相談を受ける力をつけたり、地域で同様の活動に取り組んでいる団体とのネットワークを広げたりしながら、関わる方々が「フードパントリーつくの」を通して自分の居場所を見つけられる活動へと成長させていきたいと思います。



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