2022年04月15日 1719号

【島々シンポジウム 総集編/“台湾有事”へのミサイル攻撃基地化を拒む/琉球弧に生きる民から全国へ呼びかけ】

 ロシアのウクライナ侵攻を機に「台湾有事」が声高に叫ばれ、琉球列島では自衛隊と米軍の実戦演習が激しさを増している。これに抗(あらが)う「島々シンポジウム」の総集編が4月3日、オンラインで行われた。

 主催した同実行委員会の小西誠さんが「米国防総省は『国家防衛戦略』で中国を“最重要な戦略的競争相手”と位置づけ、2月には宮古海峡を中心に米海軍・海兵隊1万5千人、自衛隊1千人を動員する共同演習を実施した」と、進む戦争準備に警鐘を鳴らす。

 パネラーは琉球弧の4つの島から。石垣島「いのちと暮らしを守るオバーたちの会」の山里節子さんは「日本復帰って何だったのか。屈辱的な“ギフト”を押し売りされているよう。どんなに山が切り刻まれても絶対めげず、基地が出来てもその撤去をかちとるまで頑張りたい」と語る。

 「日米2+2で米軍と自衛隊の一体化推進が話し合われ、自衛隊施設の米軍との共同使用も明記。防衛省が説明してきたことと全然違う。改めて民意を問う必要がある」と述べたのは、宮古島市議の下地茜さん。「国境離島は中立地帯として武装しないことが私たちを守る一番」と強調した。

ここが戦場になったら

 宮古島「てぃだぬふぁ 島の子の平和な未来をつくる会」の楚南有香子さんは「いつもの日常が続くと思っていた矢先に戦争が始まる怖さ。きょう明日ここが戦場になったら娘をどうやって生き残らせるか、考えてしまう。国を守るため市民が軍隊とともに戦うことをよいことのように刷り込まれている怖さ」を吐露。会共同代表の石嶺香織さんが産経新聞を相手にデマ記事の削除を求めた裁判について「沖縄への差別に抗う闘いの一部」と支援を訴えた(「小さき声が尊重される社会へ」意見陳述書全文をネット上で公開)。

 奄美大島「戦争のための自衛隊配備に反対する奄美ネット」の城村(じょうむら)典文さんと「奄美のミサイル部隊配備を考える会」の牧口光彦さん、佐竹京子さんが報告。種子島の和田香穂里・前西之表市議は、馬毛島(まげしま)で加速する自衛隊基地整備と米軍訓練移転の動きを伝える。

 桜井国俊・沖縄大学名誉教授は「昨日、那覇で宮城秋乃さんの裁判を支える市民の会が発足。重要土地規制法で、もの言う人が処罰される。いま声を上げなければ」と議論に加わった。

 司会の映画監督・三上智恵さんも「秋乃さんみたいに先頭に立つ人たちを支える人がこんなにいると見せていくことが大事」とコメント。小西さんが「戦争はいったん始まったら軍事マシーンが自己回転し、止めることはほとんど不可能だが、始まる前なら止めることができる」とまとめた。

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