2022年04月22日 1720号

【みるよむ(617)2022年4月9日配信 イラク平和テレビ局in Japan バグダッド・ナフラワン地区 3週間の断水に住民が抗議デモ】

 イラクの首都バグダッドのナフラワン地区では、飲料水の供給が3週間も停止した。住民はまともな飲料水の供給を求めて州政府への抗議デモを展開した。2022年2月、サナテレビはデモの現場を取材し怒りの声を伝えた。

 ナフラワン地区の住民は30万人。その人たち全員が水の供給を絶たれた。政府には水道を整備する計画があったが、実行を監視する機関も働いていない。これに対し、住民は抗議デモを組織し、州政府に飲料水供給の要求を突きつけた。

 ある男性は「ナフラワン地区の近くの東バグダッド油田に中国企業が進出し、1日4万バレルを生産している。石油価格が1バレル当たり100ドル前後と、過去の2倍くらいに値上がりしている」と指摘する。イラクの国家予算のほとんどは石油の収益から出ている。資金が豊富にあるはずだ。ところが、住民生活に不可欠な水道の敷設さえろくにやっていないのだ。

 詩人で政治活動家のアユーブ・アル・アミールさんは「このデモは、大きな抗議のための前哨戦だ」と語り、行政を動かすためにさらに闘いを広げることを宣言している。

行政を揺るがす闘い

 住民の闘いは行政を揺るがしている。映像の最後にバグダッド州知事が水道の対策事業を行うと表明する場面がある。サナテレビは「しかし…危機は解決するのだろうか?」と問いかける。本当に行政当局が約束を守って水道事業を改善するのかどうかは、まだ予断を許さないのだろう。しかし、闘うことで自分たちの生活と社会を変える展望を切り開いていることがよく伝わってくる。

 イラク政府はグローバル資本の石油権益は守るが、住民の命と生活は守らない。サナテレビはこうした闘いを報道して、市民に権利を獲得するために立ち上がろうと呼びかけている。

(イラク平和テレビ局in Japan代表・森文洋)

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