2022年04月22日 1720号

【若者の生きづらさ 朗読劇で伝えた歌舞団まつり 川崎】

 3月27日、川崎市中原平和公園野外音楽堂で「叫べ心!うごきだせ未来!2022歌舞団まつり」が行われ、エイサーなどとともに、中学生・高校生も出演した不登校をテーマにした朗読劇は、共感を広げた。実行委員会を担った「月桃の花」歌舞団・青島みのりさんに報告を寄せてもらった。

 27日当日は、雨予報もありましたがなんとか天気は持ち、お祭り日和のちょうどよい気温となりました。公園に遊びに来ていた親子連れの方々が始まる前から席に座り、リハーサルで軽く踊るエイサーにも拍手をしてくれました。

 子ども全国交歓会の参加や関西の歌舞団ユースの参加もあり、会場はとてもフレッシュな雰囲気でした。エイサー体験教室も、今まではあまり具体的に進行を決められず、ぐだぐだとしてしまっていました。今回は、関西ユースからのアドバイスもあり、工夫をしたら、小さい子にも気軽に楽しんでもらえる体験教室を実現することができました。

不登校テーマで朗読劇

 メイン企画の朗読劇にも神奈川の歌舞団公演でつながった中高生5人が参加し若者の参加を広げることができました。

 私にとっては初めての劇作り。企画段階のワークショップでは環境問題をテーマにとの意見も出ていましたが、私は不登校というテーマを選びました。

 自分自身が体験した事は自信を持ちシナリオに落とし込めると思ったからです。

 誰かに何かを伝える時、当事者性が大きな伝える力を持っていると思いました。

 けれど一緒に劇を作ろう!と誘った中高生たちは不登校ではありません。私の劇に付き合わせてしまう形になるだろうかと悩みながらもシナリオを書き彼女たちに読んでもらいました。

 すると彼女たちは、それ以前にはあまり話さなかった自分の学校での苦い体験を話してくれました。それは私が学校で感じていたことと一緒だと気づきました。

 彼女たちは支援学級に通っていて、交流級(支援学級生徒以外の普通学級)に行くときに私と同じ思いを抱いていたのです。大人数の授業でわからない部分があってもどんどん進んでいくこと。立ち止まりたいときに立ち止まらせてくれないこと。少しでも人と違うところがあれば心ない言葉が飛んでくること。「私は不登校だった。今はこんなことを思っている」私がそう言って、彼女たちがそれに応えてくれたようでした。

 練習をしていく中で、「実は自分も不登校で…」と言ってくれる子もいました。彼女たちの実体験もシナリオに入れて、本番を迎えました。「こういった場で劇をやるのは初めてだ。緊張する」と不安そうな様子でしたが、みんな堂々と舞台で自分の言葉を披露していたと思います。

劇を通して繋がる

 その後の感想交流では「自分も不登校でした」と話す子がいたり「心に刺さる劇だった」「不登校のことについて知ってもらえる劇になったと思う」など不登校ではないけれど知る機会になったと関心を示す声もありました。

 劇を通して繋がる。発表して終わりではない歌舞団の演劇のあり方を中高生たちと一緒に体験することができて本当に良かったと思います。チラシまきも一緒にやりますと声をかけてくれました。一緒に作った劇、一緒に作ったまつりだった。私は帰り際、彼女たちに「お疲れ様」と声をかけながらそう強く思えました。

 一緒につくり、つながることのできた歌舞団まつりになりました。

 4月から高校生になった彼女たちとも引き続きつながりを広げていきたいです。







 
MDSホームページに戻る   週刊MDSトップに戻る
Copyright Weekly MDS