2022年04月22日 1720号

【議会を変える、市民と変える 京都府向日(むこう)市議 杉谷伸夫 市民が動いて選択議定書批准へ意見書可決】

 3月の定例議会で、長岡京市議会と向日市議会は、女性差別撤廃条約選択議定書の批准を求める意見書を全会一致で可決しました。同じ3月には同様の意見書が、大阪府内の4議会で可決され、大阪府では44のすべての自治体議会で可決されましたが、京都府ではこれが最初です。

 日本は女性差別撤廃条約を1985年に批准していますが、権利侵害の救済を求める個人通報制度などを設けて条約の実効性を確保するため99年に採択された選択議定書を、いまだ批准していません。世界各国が選択議定書を批准し、ジェンダー格差の解消に進む一方で、日本はほとんど改善されておらず、その結果日本のジェンダー平等度は156か国中120位と世界最低水準になってしまいました。

 取り組みのきっかけは、大阪で女性差別撤廃条約実現アクションの活動をしている方から「京都でも選択議定書の批准を求める議会意見書を実現できないか」という働きかけがあったことです。選択的夫婦別姓を求める裁判で、最高裁が夫婦同姓の強制(世界中で日本だけ)を合憲としたことや、衆院議員の女性比率が1割未満であることなど、ジェンダー問題に注目が集まっていた時でした。そこで向日市、長岡京市の市民有志で、ジェンダー平等OTOKUNI(乙訓〈おとくに〉)という団体を作って取り組むことにしました。

 「選択議定書について自分たち自身もよく知らなかったし、多くの市民も知らない。選択議定書の批准を求める請願を出せば可決されるかもしれないけど、それだけじゃダメだよね」と話し合い、市民に呼びかけてこの問題をもっと知るために講演会をすることを決めました。

 伊田久美子さん(大阪府立大学名誉教授)を講師に迎え、1月30日に開催した「ジェンダー平等を考える講演会」は、オンラインを含め66人の参加があり、11人の自治体議員の他、現職参院議員と予定候補も参加するなど、予想を超える反響がありました。

 その後、講演会を主催した代表3人が請願代表者となって、長岡京市と向日市の議会に請願が提出されました。私も議員を説得しようと各会派を回ったのですが、心配に反して「趣旨には特に異論は無い」との反応で、全会一致を確信しました。

 この動きが府内の各議会に広がって「ジェンダー平等」が、地域社会の合言葉になる一歩にできればと願います。
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