2022年04月29日 1721号

【1721号主張/市民の命を守る即時停戦だ 戦争支援やめろ 9条破壊許すな】

最悪の危機的事態

 ロシアのウクライナ侵略からまもなく2か月。戦争は膠着(こうちゃく)状態となり、市民の犠牲だけが増えてゆく。

 ウクライナ各地でのロシア軍による住民殺害が報じられている。激しい戦闘が続く東部マリウポリでは死者が2万人に達したという情報もある。化学兵器や限定的な小型核兵器使用の可能性まで浮かび上がっている。世界は、核持ち込みに端を発し全面核戦争寸前に追い込まれた1963年のキューバ危機に匹敵する危険な局面にある。

 ところが、この危機に乗じ戦争長期化を策動する者がいる。世界の「死の商人」とその代弁者たちだ。ウクライナに提供される移動式ミサイル発射装置「ジャベリン」製造企業・米ロッキードマーチン社の株価は侵攻後45%も急騰した。人命の犠牲で利益をむさぼる戦争屋を退場させるときだ。

今 強調すべき憲法9条

 侵攻直後はまだ戦争反対≠煬fげていたメディアが、今や抗戦するウクライナ支援∴齔Fに変わった。「悪の帝国ロシアを倒せ」だけが正義とされ、「相手を上回る軍備を持たなければ侵攻される」「ウクライナは核を放棄したから侵攻された。日本も核武装すべきだ」との好戦勢力の言説が勢いを増す。軍事費倍増が公言され、憲法審査会で9条攻撃が強まっている。

 憲法は、主権者である市民が政府をしばるものだ。9条は、戦争放棄を決意した民衆から政府への「戦争禁止指令」である。取り払われれば、「死の商人」や海外権益を狙うグローバル資本のために武力行使と侵略の解禁を狙う政府にフリーハンドが与えられる。ロシア軍と同じ蛮行を自衛隊に再現させてはならない。

 先の侵略戦争で中国や朝鮮、アジア各国の人びとを虐殺する犯罪に手を染めた日本だからこそ、不戦と戦力不保持を誓った9条の価値を改めて強調すべきだ。9条を活かし、ただちに停戦せよの声を地域からそして全国で強めるときだ。

民衆の国際連帯を

 ロシア、ウクライナ両政府は戦争継続に固執。各国政府も交渉と停戦実現に全力をあげていない。プーチンは反戦運動を弾圧し、ゼレンスキーは国家総動員令を発して市民を武装させ大規模な軍事援助を要請する。日本も武器援助や輸送支援で戦争協力を続けている。

 ウクライナには粘り強い良心的兵役拒否の動きがある。ドイツ左翼党は「戦争、新冷戦、再軍事化にノー。政治の手段としての戦争を拒否」と表明した。英国ストップ戦争連合は、世界の最貧困層が食料・燃料不足で危機にあると停戦を呼びかける。この民衆の国際連帯が戦争を止める。

 戦争も経済制裁も市民には犠牲しかない。日本からも即時停戦、戦争支援ノー、9条実践の声を強めよう。

 (4月17日)
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